栃木県鹿沼市の佐藤信市長は29日、同性カップルの住民票について、男女の事実婚と同じ表記を可能にすると定例記者会見で発表した。同市は多様性を認め合うまちづくりを進めており、長崎県大村市など他県の先進事例を受け、7月1日から県内でいち早く取り組むことを決めた。現時点では社会保障など国の法律や制度に影響を及ぼすものではないが、佐藤市長は「国の動きを地方から後押していく役割も自治体にはある。互いに多様性を認め合うことが普通になる社会のきっかけになれば」と話している。
市は同性カップルの支援策として2019年に県内初の「パートナーシップ宣誓制度」を導入。22年には同居する子どもも家族として公認する「パートナーシップ&ファミリーシップ宣誓制度」へと拡充した。要件を満たしたうえで宣誓すると証明書が発行され、市営住宅の申し込みや個人情報の開示請求、母子健康手帳の交付などの行政サービスを受けられる。市内では現在4組が宣誓している。
現在、同性カップルの住民票は「世帯主」と「同居人」と表記されているが、宣誓をしたカップルは今後、「世帯主」と「夫(未届)」、または「世帯主」と「妻(未届)」と記載できる。この表記は男女の事実婚関係を示すものとして使われている。男女の事実婚の場合、年金受給や保険金の受け取りなど法的な実効性があるが、今回は表記内容の変更だけで、これによって法的効力を持つまでには至っていない。
市は7月の制度スタートに向けて、取り組みを周知していくとしている。【松沢真美】
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