リニア工事を巡るJR東海の情報提供に苦言を呈した大場規之市長=袋井市役所で2024年5月29日午前10時12分、山田英之撮影

 リニア中央新幹線のトンネル掘削工事をしていた岐阜県瑞浪市で井戸などの水位が低下した問題で、静岡県袋井市の大場規之市長は29日、定例記者会見で、JR東海に対し、「真摯(しんし)な対応、県民が安心できる情報提供体制が強く求められている」と苦言を呈した。JR東海は2月に水位低下を把握したが、岐阜県に報告したのは5月になってからだった。瑞浪市での工事を既に中断、地質を詳しく調べるボーリング調査を実施する。

 袋井市はリニア静岡工区着工の鍵を握る大井川流域10市町の一つ。大場市長は「今、非常にデリケートな状況になっている。もし、報道発表する社内基準があるなら見直して、できるだけ速やかに小さなものまで発表する姿勢が必要。基準が今、高すぎる気がする」と指摘した。

 大井川中下流域で工事による異変が起きた場合の対応に関して「被害者側が因果関係を立証しなくてはならないケースは多い。しかし、我々に立証責任を求められても難しい。私たちは農業用水を大井川の水に依存している。水に支障があった場合、因果関係を明らかにしなくてもJRまたは国が期限を切ることなく、きちんと補償することを事前に議論する必要がある」と主張した。【山田英之】

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