熊本地震の発生から8年。死者276人、約20万7000棟の住宅に被害が出るなど、甚大な被害をもたらしました。

内陸にある活断層がずれたことで発生した熊本地震。その特徴と今後心配される地震について、専門家に聞きました。

地震のメカニズムを研究している京都大学防災研究所宮崎観測所の山下裕亮助教は、熊本地震について次のように話します。

(山下裕亮助教)
「熊本地震は、九州の真ん中に布田川断層帯と日奈久断層帯という2つの断層帯があるんですけど、その中でも布田川断層帯と日奈久断層帯の一部がずれ動いたことによって発生した地震です。」

日奈久断層帯の北側がずれ、マグニチュード6.5の「前震」が発生。その影響で、布田川断層帯がさらに大きくずれ動き、マグニチュード7.3の「本震」が発生したと考えられています。

(山下裕亮助教)
「起こる場所が我々のすごく近いところの足元。地下10数キロというところで発生しますから、一度起きると多少規模が小さくても、とにかく強く揺れる。」

九州には、警固断層や別府ー万年山断層など、主要活断層が複数ありますが、県内で確認されている主要活断層は今のところありません。

(山下裕亮助教)
「宮崎県でも主要活断層は無いにしろ、マグニチュードが4だったり、それくらいの地震は内陸の地震としては起きています。」

今後、主要活断層の中で心配されているのが、8年前の熊本地震でずれ動かなかった日奈久断層帯の南側です。

(山下裕亮助教)
「布田川断層帯は、熊本地震でほぼ動ききった。エネルギーを解放しきったと考えられているんですけど、日奈久断層帯の南側の大部分はエネルギーをためたまま残っています。」

日奈久断層の南側が一気にずれると、マグニチュード7.6以上の地震が発生。その場合、県内の最大震度は、えびの市など山間部で震度6弱、沿岸部で震度5弱の揺れが想定されています。

(山下裕亮助教)
「山間部では特に、土砂崩れや落石といった被害というのも十分に考えられますし、結構長く揺れが続くので、下手すると本当に耐震化が十分になされていない住宅であれば倒壊する危険性だって十分にあります。」

また、熊本地震では、犠牲者276人のうち約8割が避難後などに亡くなる災害関連死となっています。

熊本地震が発生して3週間後に、宮崎から熊本の避難所に派遣された保健師の高藤ユキさんに話を聞きました。

(高藤ユキさん)
「熊本はだんだん暑くなる時期に起きているので、熱中症や食中毒などが出ていた。」

避難所では、食料が毎日配給されるか不安に感じ、食べ残しを保管する人が多く、それを食べて体調を崩す人もいました。

(高藤ユキさん)
「車中泊も熊本は多かったので、狭い空間の中で同じ姿勢でいるので、血流が悪くなって血栓ができたり、トイレとかも我慢されたりするので、水分を取らないことによって脱水症状が起きたりとか、いろんな疾患が起きうる。」

高藤さんは、車中泊ではなく避難所で寝泊りをするよう呼びかけていました。

南海トラフ巨大地震が起きた時には、甚大な被害が想定されている宮崎県。災害の備えについて高藤さんは。

(高藤ユキさん)
「南海トラフのように、広範囲で被害があった時に支援が来てくれるのかというところがあるので、まずは自助というところをしっかりしないとすごく感じた。食料は3日と言われるんですけど、1週間は用意していてほしい。あと水は重要だと思ったところです。」

普段、服用している薬は、携帯電話で撮影したり、お薬手帳のコピーを持っておくと、避難所でも薬が処方されやすくなるということです。また、地域の人たちとのつながりも大切なことです。

(高藤ユキさん)
「地区の防災訓練などに積極的に参加して、地区の人と顔をつないでおくことがすごく大事だと思っています。行政からの情報、今は携帯とかに連絡がきますので、そういったところの情報入手手段を把握しておくのが大事と思いました。」

*高藤さんの「高」ははしごだか

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