7年前、寝屋川市の病院で患者のカテーテルのワイヤを抜く処置をせず体内に放置して死亡させた罪に問われた医師に執行猶予付きの有罪判決が言い渡されました。
起訴状などによりますと鎌田振吉被告(76)は2017年、勤務していた寝屋川生野病院で、鈴木博さん(当時69)にカテーテルを挿入する処置をした際、カテーテルを先導するガイドワイヤを取り除くのを忘れ体内に放置して、鈴木さんを死亡させた業務上過失致死罪に問われています。
鎌田被告はカテーテルの処置後も鈴木さんの主治医として治療を行い、その間、8回のレントゲン撮影で異物の陰影を確認していたにも関わらず、原因を特定しワイヤを取り除くことをしませんでした。
鈴木さんは約2カ月後、別の病院に転院しワイヤを抜き取る処置を受けましたが、心臓に癒着していたワイヤが貫通し死亡しました。
■被告側は「ワイヤが残っていても死につながるわけではない」
鎌田被告は、これまでの裁判で「ガイドワイヤが体内に残っていたからといって直ちに死につながるわけではなく、死亡との因果関係があるとは思えない」などと無罪を主張していました。
検察は、「ガイドワイヤを体内に残すことで被害者の死傷を予見できたことは明らかで、ガイドワイヤがなければ合併症を発症することも、死亡することもなかった」として鎌田被告に、禁固2年を求刑していました。
■死亡と過失の因果関係を認める判決
15日の判決で大阪地方裁判所(御山真理子裁判長)は、「鎌田被告がワイヤを抜去する義務やレントゲンの陰影の原因を特定する義務を怠ったことは過失に当たる」ほか「ワイヤを取り除いた医師にワイヤの情報が共有されず、慎重さを欠いた抜去につながった」と判断。死亡と過失に因果関係を認めました。
その上で、鎌田被告に前科がないことなどを考慮し、禁固1年、執行猶予3年の判決を言い渡しました。
鎌田被告は、控訴については「検討する」としています。
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