4月6日、群馬県高崎市で9歳の女の子が遮断機や警報機のない、いわゆる「第4種踏切」で列車にはねられ死亡した事故を受け、TNCが調べたところ、福岡県内にも同様の危険踏切が80カ所近くあることが分かりました。

こうした踏切がなくならない理由を取材しました。

◆川崎キャスター
「この辺にあると聞いたんですが…ありました。住宅街の小道に踏切があります。ただ遮断機と警報機はないですね。これはかなり注意が必要ですね。」

15日朝、川崎キャスターが訪れたのは、福岡市からほど近い福岡県須恵町の住宅街にある踏切。

JR香椎線の新原駅近くにある踏切は、遮断機や警報機もないいわゆる「第4種踏切」です。

◆川崎キャスター
「電車の音が聞こえて来ました。死角から突然電車が現れますね。これは電車が来たのを認識するのは難しいです」

建物と建物の間から突如現れる列車。

知らずに通ると線路があることすら分かりづらいこの踏切には、JR香椎線の列車が多い時間帯で1時間に6本通過します。

近くに住む人たちは、どのように感じているのでしょうか。

◆近隣住民
「過去には事故があったけどね。電車が来たらガタンゴトン音がするしね。それでちょっと渡るのやめておこうとかね。気を付けては通っているけど」

実は、こうした「第4種踏切」は、全国に約2400カ所あり、福岡県内にも福岡都市圏を含め78カ所存在しています。

この「第4種踏切」を巡っては4月6日に、群馬県高崎市で9歳の女子児童が列車にはねられ死亡しました。

女子児童は、散歩中に犬を追いかけて踏切に入り、事故に遭ったとみられています。

なぜ、こうした危険な踏切は無くならないのかー。

鉄道事業を監督する、九州運輸局に聞いてみるとー。

Q.完全に無くならないのはなぜ?
◆九州運輸局 鉄道部 日置勝幸技術・防災課長
「地域住民が不便に感じる、移動するのに時間がかかるというのがある」

廃止を決めるのは原則、鉄道事業者ですが、第4種踏切廃止に向けた大きなハードルは「地元の理解」です。

◆九州運輸局 鉄道部 日置勝幸技術・防災課長
「本来であれば、危険でないのがいいんでしょうけど、迂回することでそれなりに時間がかかるということで、地域住民が反対したり、それまで静かだったのが警報機によって音が気になる方は気になるということで、反対する方がいる」

「第4種踏切」の廃止には様々なハードルがあるものの、九州運輸局は今後も廃止に向けて鉄道事業者などと連携し、取り組んでいきたいとしています。

第4種踏切、「近道」を求める地元住民の意向もあり、完全には無くならない現状があります。

それならば遮断機や警報機を設置すれば良いのですが…

九州運輸局によると遮断機と警報機を設置した場合、約2000万円の費用が掛かるといいます。

こうした中で、ある取り組みに期待が集まっています。

島根県の東部、雲南市を走るJRの第4種踏切では、今年3月、「踏切ゲートLite」という「手動の踏切」が設置されました。

バーを自分で持ち上げるシステムで、物理的にいったん立ち止まらせて、左右の安全確認をしてもらうのが狙いということです。

導入したJR西日本によると、中国地方の22カ所に去年10月から設置していて「導入後に踏切事故は起きていない」とのことです。

さらに設置費用は、遮断機と警報機の10分の1程度で、2時間ほどで設置できるといいます。

危険な踏切への対策は、福岡でも待ったなしの課題となっています。

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