造船作業中にアスベストを吸い込み健康被害を受けたとして、元作業員らが国に損害賠償を求めている集団訴訟で、新たに8人が大阪地裁に提訴しました。

訴えを起こしたのは、造船作業中にアスベストを吸い込んで健康被害を受けた70代の元作業員の男性と、亡くなった作業員4人の遺族7人です。

■造船作業は給付金制度の対象外

建設作業でのアスベスト被害については3年前、最高裁が国が適切な規制を怠っていたと責任を認めたため、国が給付金制度を設けましたが、造船作業については制度の対象外としています。

原告らは造船作業についても当時、国が適切な規制を怠っていたとして、あわせておよそ5300万円の損害賠償を求める裁判を起こしました。

造船作業中のアスベスト被害をめぐっては去年2月に1次提訴があり、大阪地裁の原告はあわせて20人となります。

■かつて『奇跡の鉱物』と呼ばれたアスベスト 中皮腫で今も年間1500人以上亡くなる

アスベストは断熱性が高く、耐久性に優れていることから、かつて『奇跡の鉱物』と呼ばれていました。

駅や学校など私たちの身近な建物にも多く使われましたが、発癌(がん)性が問題となり2004年に原則使用禁止になりました。

アスベストが原因とされる特有の癌・中皮腫は、アスベストを吸ってから発症するまで一般的に数十年潜伏することから、今も年間1500人以上が亡くなっています。

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