意見表明権を定めた子どもの権利条約=法務省人権擁護局が企画したパンフレットから

 子どもが自由に意見を言える社会になっているか――。35年前に国連で採択された「子どもの権利条約」で保障されている意見表明権。ひもといてみると、子どもたちが多くの時間を過ごす学校でのルール作りに結びつく問題だった。

 権利条約は1989年に採択され、日本はその5年後に批准した。条約には四つの原則があり、そのうちの一つが意見表明権だ。

 子どもが自分に関係ある事柄で自由に意見を言うことができるとし、大人も耳を傾けて十分に考慮しなければならない。最近では離婚後の共同親権の導入を巡り、親の離婚に直面した子どもの意思をどれだけくみ取るかが議論になった。

 この意見表明権をテーマにしたシンポジウムが5月11日、大阪市内で開かれた。条約採択35年を記念して大阪弁護士会が主催し、大阪夕陽丘学園高校(大阪市天王寺区)の生徒たちが参加した。「ルールメーキング」と呼ばれる自主的な校則作りの取り組みを発表した。

 この高校では校則などのルールを改める場合、生徒らが主体的に話し合うことにしている。最終判断はあくまで学校。生徒たちには学校側も納得する理由を示すことが求められる。

 これまでの「成果」としては、NGとされていた化粧全般について、眉毛の「アイブロー」が認められるようになった。他にも男子生徒は長髪が認められていなかったが、校則で男女ともに「清潔で自然な髪形」と変更している。5月に予定された遠足でも「化粧は○か×か」で学年ごとに話し合いが持たれた。

 「ルールメーキングは権利条約の趣旨に沿うものだ」と指摘するのは、シンポジウムを企画した西村英一郎弁護士だ。「大人は子どもの行動を制限する時、『あなたのためだ』と言うことがあるが、それは本当に子どものためになっているのだろうか。子どもの意見に耳を傾けることが重要だ」と話す。【木島諒子】

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