京丸うちわの生産の最盛期を迎え、のり付け作業をする職人たち=京都市左京区で、山崎一輝撮影

 夏の到来を目前に、京都の花街で芸舞妓(げいまいこ)がお世話になった料亭などに夏のあいさつで配る「京丸うちわ」の生産が続いている。

 白地に濃い朱色で芸名や家紋などが入り、華やかなのが特徴。1624(寛永元)年創業の老舗うちわ店「小丸屋住井」(京都市左京区)が発祥で、京都と屋号から一文字ずつ取ってうちわの名前が付けられたという。

 持ち手となる柄と骨が1本の竹でできており、代々伝わる工程を忠実に守った熟練の技で制作。飲食店などでは縁起物としても飾られ、夏の風物詩として花街を彩っている。

 職人7人が和紙をのりで貼り付ける作業などを続け、6月中旬までに約1万4000本を納入する予定という。

 同社の10代目女将、住井啓子さん(74)は「職人たちが先人の思いを守り、心を込めて作っているうちわ。その『気』が心地よい風を送ってくれます」と話した。【山崎一輝】

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