控訴審判決で辺野古住民側の原告適格が認められたが、「楽観はできないし、まだ勝利ではない」と表情を崩さなかった原告の金城武政さん=那覇市で2024年5月15日午後3時35分、喜屋武真之介撮影

 沖縄の日本復帰から52年を迎えた日に、住民の訴えを一部認めて、審理を地裁に差し戻した15日の福岡高裁那覇支部判決。辺野古移設計画を巡る国との一連の訴訟では、沖縄県や住民側の敗訴が続いていただけに、原告や支援者からは驚きと喜びの声が上がった。

 名護市辺野古に暮らす原告の金城武政さん(67)は法廷で判決を聞いた。「びっくりした。辺野古の移設容認派は『国が決めたことだから』と諦めているが、正当性を唱えれば国と闘えることを示せた」と語った。

 ただし、今回の判決は地裁での審理のやり直しを命じたに過ぎない。知事の埋め立て承認撤回処分を取り消した国土交通相の裁決が違法だったかどうか、改めて争われる差し戻し審について、金城さんは「楽観はできない」と表情を引き締めた。判決後、原告団と弁護団は連名で声明を発表。「門前払いを否定し、実体判断への道筋を示した」と判決を評価し、国に対し、実体的な審理に向き合うよう求めた。【喜屋武真之介】

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