仮処分申請を却下する決定を受け、垂れ幕を掲げる住民側の関係者=松江市で2024年5月15日午前10時4分、松原隼斗撮影

 中国電力が12月に再稼働を予定している島根原発2号機(松江市)について、広島高裁松江支部は15日、地元住民らが中国電に運転の差し止めを求めた仮処分申請を却下する決定を出した。島根原発2号機の運転を認める形となった決定を受け、仮処分を申し立てた住民らは裁判所の前で「私たちの声は届かなかった」「司法は住民を見捨てた」と書かれた幕を掲げた。

 住民らは松江市内で記者会見し、決定内容を批判した。土光(どこう)均さん(69)=鳥取県米子市=は「司法にきちんと考えてほしかったが、国の判断を追従しただけだ」。芦原康江さん(71)=松江市=は「政治の方針や電力会社の利益を優先するような思考に陥っている」と不満をあらわにした。

 住民らが運転差し止めを求めた訴訟は、松江地裁が2010年に請求を棄却した後、高裁での審理が続いている。住民側代理人で松江市を拠点としている妻波俊一郎弁護士は「短絡的な決定だったが、内容を分析して住民のために原発を止める闘いを続けたい」と話した。【目野創】

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