かんきつ類の汁を吸うクサギカメムシ。秋から冬にかけて家の中に入り込んで来るカメムシの中で最も一般的な種類だ=山口県農林総合技術センター提供

 梅や桃、リンゴなど果実の汁を吸い、へこみや落果を引き起こす「果樹カメムシ類」が今春、京都府内で平年と比べて多く確認されている。平年より2カ月ほど早く大量発生する恐れもあるとして、府病害虫防除所(亀岡市)は2日に注意報を発表。警戒を呼び掛けている。【久保聡】

 注意報が出ているのは、チャバネアオカメムシ、クサギカメムシ、ツヤアオカメムシの3種類。防除所によると、果樹カメムシ類の今年の越冬数は、山城地域と丹後地域では平年並みだったが、丹波地域では平年の3倍を超えたという。

 防除所では、誘引剤やカメムシが集まる習性がある紫外線を強く発するブラックライト(BL)を使い、捕獲調査を続けている。その結果、4月に捕獲された果樹カメムシ類は府内各地で平年に比べて急増。誘引剤による捕獲数(チャバネアオカメムシ)をみると、京田辺市で平年の約60倍、亀岡市で約4・5倍、京丹後市で約7・5倍に上っている。

 さらにBLによる捕獲数は、京丹後市でクサギカメムシが平年の約7倍、亀岡市でチャバネアオカメムシが約150倍となるなど、今春は各地で大量となっている。京田辺市では、都市部でもよく見かける緑色のツヤアオカメムシが平年の約70倍も捕獲された。

 防除所の浅井信一専門幹は「暖冬だった影響で、昨年に大量発生したカメムシが多く越冬し、早く出てきているのではないか」と推察する。カメムシは夜間の気温が高く風の弱い日の日没ごろに多く飛来するといい、「4月は夜間の気温が高い日が多かった。それも要因と考えられる」としている。

 防除所は農家などに対し、果樹園内外のカメムシの発生状況をこまめに観察し、早めに防除するよう注意喚起。山林などに隣接する果樹園では特に注意を払い、梨や桃の栽培では早めに袋がけすることなどを求めている。

 農林水産省によると、果樹カメムシ類の注意報は3月22日に愛媛県、4月3日に神奈川県が出すなど、5月2日までに西日本を中心に計13府県が発表。関西では京都府の他、和歌山県と兵庫県が注意報を出している。

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