独自取材でニュースを深堀りするコーナー、「シンソウ」。今回は、近年、手口が巧妙化している特殊詐欺について取材しました。
(岡山市・60歳男性)
「まさか自分のところに(電話が)かかってくるとは思わないので。最初はびっくりした」
こう話すのは、岡山市に住む60歳男性。4月26日、自宅の固定電話に警察官を名乗る男から電話がかかってきたといいます。
(岡山市・60歳男性)
「「県警の生活安全課のサトウと申します。郵便局のキャッシュコーナーで不正に引き出そうとする人を捕まえた。(逮捕した人の)1人が私の名前と電話番号を控えていて、電話させてもらっている」と言われた」
男性は、逮捕した人物のことを全く知りませんでした。するとこのタイミングで自宅のチャイムが…。本物の警察官が自宅へ巡回連絡に来たのです。その警察官に男からの電話を相談している間に不審な電話は切れ、被害を未然に防ぐことができました。
実はこうした電話からキャッシュカードの不正な引出しがないか確認が必要として、偽物の警察官が自宅に来て、キャッシュカードなどをだまし取られるケースも増えています。
岡山県内の特殊詐欺の認知件数の推移です。2023年の1年間に182件、被害額は約6億780万円と、前の年に比べて約2億9000万円増え、2015年以来8年ぶりに6億円を超えました。
中でも多いのが、「お金が返ってくる」と誘い出し、ATMを操作させる還付金詐欺です。その手口、どんなものか、実演してもらいました。
(犯人役・年金事務所)
「年金事務所のナカムラと申します」
(被害者役)
「ナカムラさん、なんでしょうかね」
(犯人役・年金事務所)
「山田さんが年金を納めすぎていて返金がある」
「(手続きは)今日中じゃないといけない」
(被害者役)
「なら(予定の)シルバーは断りますわ」
(岡山県警生活安全企画課 山本直希課長補佐)
「犯人側は非常に言葉巧みに、今すぐ手続きをしないと還付金が返ってこないと焦らせる」
その後、普段利用している銀行を教えると、別の電話が・・・
(犯人・銀行コールセンター職員)
「しろくま銀行コールセンターのマツイと申します。年金の返金をATMで簡単にさせていただく」
(被害者役)
「銀行ね。キャッシュカードを持っていけばいいんですね」
(被害者役)
「山田(仮名)です。しろくま銀行に着きました」
(犯人・銀行コールセンター職員)
「キャッシュカードを差し込んでいただけますか」
(被害者役)
「キャッシュカード入れたらいいんですね。入れました」
(犯人・銀行コールセンター職員)
「これから言う数字を押していただきます。これは山田様の整理番号になります。498の・・・」
犯人は残高照会させ、口座の中にいくら金が入っているか確認し、振り込み限度額に近い数字を入力させます。
(犯人・銀行コールセンター職員)
「手続きは以上になっております。 後日、山田様にお金が振り込まれます」
(岡山県警生活安全企画課 山本直希課長補佐)
「口座の中に50万円入っているとすれば、それに近しい番号を「498の822」と、あたかも金額ではないように申し向けて入力させ、送金させる手口を使ってくる」
犯人からの最初の接触は自宅の固定電話が最も多く、被害者の内訳を見ると約60%が65歳以上の高齢者だったということです。
(岡山県警生活安全企画課 佐藤泰弘犯罪抑止対策室長)
「被害に遭われた人の多くは、自分は騙されないと思っていても、電話に出てしまい、相手のペースにのせられて最終的に騙されている。まずは、自宅の固定電話を留守番機能付き電話に交換する、在宅中でも留守番電話設定にすることによって、特殊詐欺被害を未然に防いで頂きたい」
県警が2023年、特殊詐欺の被害に遭った人を対象に行った調査では、「自分は被害に遭わないと思っていた」と答えた人が74.3%でした。「だまされるかもしれない」という心構えで特殊詐欺に備えることが大切です。
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