境町の橋本正裕町長(中央)から地域おこし協力隊員を委嘱された鬼塚雅選手(左)と永井葉月選手=茨城県境町で2024年5月2日、堀井泰孝撮影

 女子プロスノーボーダーの鬼塚雅選手(25)と女子ホッケー日本代表の永井葉月選手(29)が茨城県境町に移住し、地域おこし協力隊員に就任した。いずれも2大会連続でオリンピックに出場したトップ選手。町はスノーボードやスキーの本格練習施設建設を計画しており、鬼塚選手は2日の委嘱式で「町で五輪に向けて頑張りたい。新施設が、子供たちが夢を持つきっかけになればうれしい」と笑顔で話した。【堀井泰孝】

 鬼塚選手は熊本県出身。5歳からスノーボードを始め、小学1年生の時に国内大会で初優勝し「天才スノーボード少女」と称された。2015年の世界選手権では史上最年少の16歳で優勝。18年平昌五輪、22年北京五輪に連続出場した。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪出場を目指している。

北京五輪のスノーボードビッグエア予選で大技を披露する鬼塚雅選手=張家口・雲頂スキー公園で2022年2月、宮間俊樹撮影

 隊員就任にあたって町に練習場の整備を要望。町はスノーボードやスキーの練習ができる特殊人工芝のジャンプ台建設を計画。総事業費約4億円で24年度中の完成を目指す。プロデュースする鬼塚選手は「日本で唯一の本格的な練習施設になる。子供も大人も安全に楽しめるようにしたい」と抱負を語る。

 永井選手は岐阜県出身。的確なパス回しが持ち味のミッドフィールダーで、チームの司令塔を担う。12年から日本代表に選出、16年リオデジャネイロ五輪、21年東京五輪に出場した。日本代表「さくらジャパン」主将の姉友理選手(31)とともに、今夏のパリ五輪での活躍が期待される。

リオデジャネイロ五輪の豪州戦でボールをキープする永井葉月選手=同五輪ホッケーセンターでで2016年8月13日、小川昌宏撮影

 町は「スポーツを核としたまちづくり」を目指し、20年に五輪基準の町ホッケーフィールドを整備。東京五輪前にはさくらジャパンが3度合宿を行った。パリ五輪前にも合宿が予定されている。

 永井選手は「2年前に一度引退したが、子供たちにホッケーをする姿を見せたいと思って復帰した。体験教室などで競技の魅力を伝えたい」と語った。

 橋本正裕町長は「町の子供たちの未来を作る事業に協力してほしい」と述べた。両選手の他に今回、7人に隊員を委嘱。町の隊員は計25人となった。

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