横浜市立市民病院に入る救急車=横浜市で2020年2月5日午前10時32分、南茂芽育撮影

 横浜市消防局が急増する救急車の出動回数を減らそうと、高齢者の転倒によるケガや病気などを予防するプロジェクトに乗り出している。2023年の出動回数は25万4636件と過去最多を更新し、現場までの到着時間は10年前より2分遅くなった。救急車が呼ばれる回数を減少させ、1分1秒を争う出動に注力したい考えだ。

 「救急需要の増加が救える命に影響してはならない」。9日に市消防局本部(保土ケ谷区)で開かれたプロジェクトの第1回会合。市内6消防署に新設された担当課長を前に、木村正夫救急部長が危機感をあらわにした。

 同局によると、1~3月の救急出動は、過去最多を更新した23年同期をすでに1割上回った。今年1年間の出動は27万~28万件と過去最多を更新するのは確実とみられている。

 特に高齢者の搬送は多い。23年のけがによる搬送者は、65歳以上の高齢者が全体の67%となっている。けがの種類別では「転倒」が圧倒的に多かった。

 そのため、プロジェクトでは消防局職員が高齢者施設などに出向いて啓発活動に取り組む。電気コードやタンスの引き出し、床に置いた洗濯物などに足が引っかかって転倒するといった具体例を示し、注意を呼びかける。

 7歳未満の救急要請で目立つ感染症や頭部のけがについては、スマートフォン用アプリを使って注意を呼びかける。消防局は市の医療や福祉、子育て部門からの意見も取り入れて1年がかりでより効果的な活動のあり方を検討していくとしている。【矢野大輝】

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