初心者の個人投資家がやるべき投資スタイルとは(写真:Fast&Slow/PIXTA)新NISAが始まり、多くの人が興味を持ち始めた株式投資。しかし、成功させるには経験や我慢する力、なにより知識が必要です。児玉一希さんの新著『高配当10倍株投資 「高利回り×高成長」で資産を4倍速で増やす!』より一部抜粋・再構成してお届けします。

2023年、TOPIX株価指数は1990年8月以来の最高水準に達し、日経平均株価は2021年9月以来初めて3万円を超えました。2024年の2月も旺盛な海外投資家の買いによって日経平均はバブル時の最高値である3万8915円をついに更新し、3月22日には最高値となる4万888円をつけました。

まさに今、日本経済が長期にわたって苦しんできたデフレスパイラルから回復しつつあり、その背景には長期的な金融緩和策や政府による投資の奨励があります。さらに、著名な投資家ウォーレン・バフェットが日本株への投資を増やしたのも話題となりました。

個人投資家がやるべきは「インデックス投資」ではない!?

中長期的な視点から見て、日本経済は大きな構造変化を遂げつつあり、企業が競争力を高め、そして日本株は引き続き最も有望な株式マーケットの1つとなるでしょう。

こうした状況を受けて、株式投資に興味をもった方も多いのではないでしょうか。このような場合、多くの投資家は米国の代表的な株価指数に投資する「S&P500」や全世界の有力企業に分散投資できる「全世界株式(オール・カントリー)」などのインデックス投資を選択されることでしょう。

しかし、ここで個人投資家にお勧めしたいのが、高配当株投資です。

配当を出しているのは安定した大型企業が多く、株価の上下関係なく入ってくる配当金は、老後の収入の心強い足しにもなります。長期保有することで値上がり益も狙えます。長年にわたり配当を出し続ける企業は、業績が成長し続ける傾向にあります。その結果、株価も長期的に上昇しやすくなります。

また、投資の現場で個人投資家が最も悩むポイントとして、高値と安値の見極めがあります。どんなに優良な銘柄でも、売買ポイントを間違えて高値掴みすると、大損してしまいます。

人はつい、話題になっている勢いのある銘柄に飛びつきたくなります。しかし、たいていは皆が優良株と知った時が天井(=株価の最高値)です。それ以上、上昇することなく高値掴みを誘発します。

逆に優良企業でも株価が暴落しているような時こそ投資のチャンスなのですが、そんな時に限って心理的な抵抗から敬遠しがちです。

高配当株は暴落時にこそ魅力的に見える

しかし、高配当株の場合は、株価が暴落している時こそ喜んで買えるようになります。なぜなら高配当株は株価が低くなるほど配当利回りが上がるからです。

投資資金に対して、どのくらいの配当をもらえるかを表す指標を配当利回りと言います。たとえば、株価が1万円で配当金が200円の銘柄があれば、配当利回りは200円÷1万円=2%になります。

ところが株価が下落して、5000円になった場合、配当利回りは200円÷5000円=4%に引き上がります。同じ銘柄の配当でも、株価が下がれば下がるほど、リターンが上がるのでお得になります。

私は高配当株を狙うときに配当利回り4%~5%をできる限り基準にしていますので、株価が上がってしまって利回りが高くない銘柄は、手を出したくなくなります。

これが高値掴みの防止になり、逆に配当利回りが高い暴落期にだけ株を買うインセンティブになるのです。

とはいえ、単に高配当株だけを狙う投資スタイルには弱点があります。

高配当であるとは、長年業績が安定している証ですが、言い換えれば、会社として成熟しており、成長性が低いとも言えます。

実際、高配当株で人気のNTTや電力会社、JT(日本たばこ産業)などは、毎年業績も配当金も安定していますが、爆発的には成長していません。株価の動きもゆっくりというケースが多いです。

株価の動きがゆっくりということは、それだけ安心感があり素晴らしいことなのですが、せっかく自分の大事な資金を投じていくわけですから、長年保有するほど大きく値上がりしてくれた方が嬉しいですよね。

実際、日本の高配当株の中には長期で株価が大きく伸びるケースが多々あり、10倍以上になる銘柄もたくさんあります。

たとえば、防衛産業に属する三菱重工業(7011は、2020年には株価が約2000円まで下がったのが、好調な業績と防衛予算の増額などもあり、3年間で株価が4.25倍に急騰しました。

2020年時点で配当利回りが3.5%程度だったところ、配当金自体も75円から160円になる見通しで、2倍以上となります。2020年当時の株価からすると利回りが7~8%になっています。

このように、高配当株の中には長年業績を上げ続け、配当金もそれに応じて増額し、気づけば当初投じた資金に対して信じられないリターンをもたらしてくれる銘柄が多数存在します。

高配当株の投資スタイル

しかもその間、いちいち株価チェックをしたり、チャート分析をしたりする必要はありません。そのため、仕事や日常生活に時間を十分に使えますし、投資にかける精神的なコストを考えても、最もコスパの良いやり方になります。

放置スタイルの投資と言えば、つみたてNISAにおけるS&P500の積み立て投資などが挙げられますが、高配当株は将来の資産増加だけでなく、毎年毎年配当収入が入ってくるので、投資による喜びを実感しやすいです。配当を再投資してもいいですし、老後生活の足しにしてもいいでしょう。

もちろん、高配当株であれば何でもいいわけではありませんので、配当が安定して増えやすく、かつ値上がりも狙える銘柄を選んでいくことが大切になります。

私は投資における継続性・再現性をとても大切にしています。特に初心者の方であれば、資金が限られ、知識も少なく、経験の少なさから判断を間違ってしまうことも多々あります。

そのため、何よりもまず、資金を大きく失わないこと、そして、年を経るごとに利益が積み重なっていくことを重視した投資戦略を設計しています。

まずは、あなたが投資で目標としている資産額を想像してみてください。その資産額が、たった1カ月、半年、または1年程度で達成できるものがどうかを。ほとんどの場合、達成できないはずです。

基本的に、特別な幸運がない限り、投資で利益を積み上げるには相当な時間が必要です。

たとえば、年利5%で資産を2倍にするには約15年が必要です。そして、その期間中に大きく資金を失ったり、投資が継続できなくなったりするような事態は避けなければなりません。

ただ、その一方で、相場は年によって全く違うパターンに変化します。

そのため、画一的なノウハウではなく変化が生じる中でも生き残っていける、そういった考え方で投資に臨む必要があります。そのためには何よりもまず、継続できる投資スタイルを少しずつ身につけるのが重要です。

さらに言えば、個人投資家のほぼ全員が投資の専門家ではありません。

忙しい日常生活の中でスキルを習得するには、どうしても相応の時間をかける必要があります。その間に、少額でも高配当の長期投資を通じてさまざまな経験を積み重ね、経験値を高めていただくことを推奨します。

私自身も普段は毎日12時間ほど仕事をしていますので、株価チャートを1日中チェックする時間なんてありません。それでも問題なくできていますのでご安心ください。

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もちろん、専門家ではない個人投資家が投資を行う際に、株式指数に連動したファンドの積み立ては有力な選択肢になってきます。しかし、諸説ありますが、こうしたインデックス投資の年間平均リターンは5%程度と言われています。

5%というリターンは素晴らしいですが、どうせリスクを負って投資をするなら可能な限りリターンは大きい方がいいですよね。そこで私は、投資初心者でも気軽に取り組むことができ、高い継続性・再現性の中で株価と配当の両方から高いリターンを期待することができる高配当株投資をお勧めしているのです。

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