4月の金融政策決定会合後、記者会見する日銀の植田総裁(日銀本店)

日銀は9日、4月25〜26日の金融政策決定会合での「主な意見」を公表した。3月会合で決めた政策の維持を判断した一方で、追加の利上げに向けた意見が相次いだ。円安を背景に基調的な物価上昇率の上振れが続く場合には「正常化のペースが速まる可能性は十分にある」といった指摘も出た。

3月会合でマイナス金利政策や長期金利を抑え込む長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)など大規模緩和を解除し、政策金利を0〜0.1%程度(無担保コール翌日物金利)に変更した。4月会合はこれを据え置き、追加利上げを見送った。

もっとも、会合では追加利上げに関する発言が相次いでいた様子が明らかになった。政策委員からは「金利引き上げのタイミングや幅に関する議論を深めることが必要だ」といった意見や、「金利のパスは市場で織り込まれているよりも高いものになる可能性がある」との見通しが示された。

「金融緩和の更なる調整を検討するうえで、夏場にかけて、前向きな企業行動の確認、具体的には堅調な設備投資の継続や賃上げを契機とする年後半に向けた個人消費の改善傾向がポイントだ」との発言もあった。

委員が追加利上げを意識する背景にあるのは円安の進行だ。4月会合での物価に関する議論では、「円安と原油高は、コストプッシュ要因の減衰という前提を弱めており、物価の上振れ方向のリスクにも注意が必要だ」との懸念が示された。

「円安の進行、積極的な財政政策、人手不足を主因とする供給力不足、資源価格の上昇など、様々な物価上振れのリスク要因がある」との声もあった。

国債買い入れの減額については「市場の予見可能性を高める観点で、減額の方向性を示していくことも重要だ」といった議論があった。「どこかで削減の方向性を示すのが良い」との言及もあった。

日銀はイールドカーブ・コントロールを撤廃したものの、撤廃前とおおむね同程度の国債の買い入れを続けている。植田和男総裁はいずれ購入額を減らす意向を示しており、いつどのような形で実行に移すかが焦点になっている。

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