あおぞら銀行は1日、2024年3月期の連結最終損益が498億円の赤字(前の期は87億円の黒字)になると発表した。将来の税負担の軽減を見込んで計上していた繰り延べ税金資産の一部を取り崩すためだ。従来予想は280億円の赤字としており、赤字幅が拡大した。

あおぞら銀行は2月1日、米金利の上昇(債券価格は下落)で膨らんだ有価証券の含み損の処理や米商業用不動産向け融資で損失に備えるための追加の引当金の計上に伴い、280億円の最終赤字になりそうだと発表していた。

今回の赤字拡大の要因は、繰り延べ税金資産の一部取り崩しが発生し税金費用が145億円増加したためだ。有価証券の含み損の処理や過去に保有していた海外子会社の清算が完了したことに伴って税務上の欠損金が生じたため、監査法人と協議して所得見積期間を見直した。10年から5年に短縮したことで、約5年分の繰り延べ税金資産の取り崩しが発生した。

経常利益は従来予想の490億円の赤字から550億円の赤字に拡大する。与信費用が40億円増加したことが主因で、円安が進んだことに伴い外貨建て貸出金の貸倒引当金で円換算額が増加した。米商業用不動産向け融資については新規で破綻懸念先となった案件はなく、引当金の回収が進んでいるという。

24年3月末の有価証券評価損は520億円程度と、560億円としていた2月の見込みから改善していることも明らかにした。

あおぞら銀行は「取り崩しは大きな損失計上にはなったが、2023年度に処理することで、いずれボトムライン(最終損益)の数字はプラスに出てくる。長い目で見た時の企業価値は影響ない」と説明する。

業績予想の修正による自己資本比率への影響は軽微としている。3月末の自己資本比率は、2月に8.8%程度としていた予想から改善し9%程度になる見通し。25年3月期の業績見通しは2月に公表した水準から変更せず、170億円の最終黒字を目指す。

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