金融政策決定会合に臨む日銀の植田総裁(中央)ら(写真は12月会合、日銀本店)

日銀は24日、10月30〜31日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。複数の政策委員が、米国の今後の政策運営が米国の物価や為替動向など金融資本市場を通じて、日本の「物価上振れリスクとなる可能性がある」との認識を示した。多くの委員が米国経済の動向を注視する姿勢を強調した。

7月会合で政策金利を0.25%に引き上げると決め、9月、10月会合では据え置いた。

10月会合の開催当時は米大統領選の直前だったため、次期政権を想定しつつ議論した。共和党のトランプ候補、民主党のハリス候補ともに財政拡張路線を掲げていたことを議論に織り込んだとみられる。一人の委員は「日米の財政政策の展開と、為替相場の動向について、物価への影響を懸念している」との見解を示した。

9月会合の議事要旨では、複数の委員が追加利上げの判断において経済や市場の動向を「見極めるための時間的余裕はある」として、利上げを急がない姿勢もみられた。

植田和男総裁は10月会合後の記者会見で「『時間的余裕』という表現は今後は使わない」と言及していた。今回公表した10月会合の議事要旨でも、ある委員が「(市場に混乱をもたらした)米国経済の不透明感が低下するなかで、時間的余裕という言葉で情報発信する局面ではなくなりつつある」と説明した。

国内の物価情勢については、複数の委員がコメの値上がりで外食の価格が上振れてきている様子を指摘したが、それ以外は「サービス価格改定も含め、ほぼ見通し通り」と評価した。「賃金上昇の影響が、物価面にも現れてきている」との指摘も複数の委員から出た。

過去25年の非伝統的金融政策を総括する「多角的レビュー」についても議論した。ある委員は、異次元緩和開始当初に「『2年で(物価上昇率)2%』という目標を示していたことについても検証するべきだ」と主張した。「金融緩和がイノベーションを起こし成長を促進する効果はあまりみられなかった」との意見もあった。日銀はレビューを12月19日に公表した。

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