一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ「日本版ライドシェア」が12日、横浜市など神奈川県内で始まった。県と三浦市が同市内で実証実験する神奈川版ライドシェア「かなライド@みうら」は17日の開始に向け、ドライバーの研修など準備が着々と進む。移動手段に課題のある地域の足として根付くかどうか注目される。
4社5事業所に許可
12日に始まった日本版ライドシェアの県内の対象地域は横浜、川崎、横須賀、三浦の4市。金、土、日曜の午前0~同5時台と午後4~同7時台に車を呼ぶことができる。終電後の帰宅や夕方の買い物など、需要が旺盛な時間帯でのタクシー不足の解消が主な狙いだ。
三和交通神奈川(横浜市西区)ではドライバーに応募した建築業の男性(32)がアルコール検査などを受けた後、「ライドシェア」の表示をつけた車に乗り込んだ。「タクシー不足の問題を自分の車で解決できたらと応募した。事故がないようにして安全に目的地まで送っていきたい」。
同社のシステムは、タクシーが不足していると判断した地域で、配車要望があった場合に、ライドシェアの車に依頼が届く仕組み。利用者はライドシェア限定で指定することはできないが、タクシーのみの配車を希望することはできる。
関東運輸局神奈川運輸支局によると、11日までに4社5事業所に実施を許可した。行き先や運賃は事前に確定し、配車アプリでキャッシュレス決済する。
使用されている配車アプリは「GO」。今後、さらに複数の事業者が参入する見込みで、利用できる配車アプリも増える可能性がある。
地域経済活性化も
「みなさんは新しいことに挑戦するパイオニア(先駆者)です」。三浦市のいづみタクシーの八木達也社長は「かなライド@みうら」に参加するドライバーたちにこう呼びかけた。かなライドは自治体などが主体となる「自家用有償旅客運送」制度を利用し、市側から運行管理を委託された同社など2社がドライバーの教育研修を重ねている。
八木社長は服装や乗り降りの対応、トラブルを避けるための注意点などを細かく説明し、「接客態度や運転マナーはすぐに苦情につながる。これが看板を背負うということです」と締めくくった。
利用時間は午後7時から翌日の午前1時までで、実施期間は17日から12月16日までとなっている。出発地は三浦市内限定だが、行き先は市外も可能となる。目的地や料金は日本版と同様にアプリ内で事前に確定させる仕組み。
かなライドは一部のバスやタクシーが営業を終了する夜間の「交通空白」を埋め、飲食店などの地域経済を活性化することも目的の1つとしている。運送業の斉藤猛さん(56)は「自分の空いている時間で地域貢献をしたいと思い、応募した」と話した。(高木克聡)
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