▼多角的レビュー 日本がデフレに陥った1990年代後半以降、過去25年間にわたる各種の金融緩和策の効果や副作用について、多角的な観点から検証したもの。将来の金融政策運営に役立てることを目的として、日銀の植田和男総裁が2023年4月の就任後初となる金融政策決定会合で実施を決めた。
日銀はレビューにあたり、論文作成や金融政策をテーマにしたワークショップ、国内外の有識者を交えた意見交換などを実施してきた。公表した論文は46本に及ぶ。家計や企業、金融機関に対するアンケートといった多種多様な調査や分析を踏まえ、金融緩和策の長所と短所について丹念に検証した。
多角的レビューには計8人の有識者からの講評も盛り込んだ。東大の星岳雄教授は「大規模な金融緩和が財政規律の弛緩につながったかという点は、政治経済的な分析も含めてさらなる研究が急務だ」と指摘した。一方で、同大学の吉川洋名誉教授は「金融緩和が消費を押し上げることに貢献したとは到底言えない」など異次元緩和の効果について厳しく指摘した。
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