日銀は19日開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.25%で据え置くと決めた。トランプ次期米政権の経済政策の先行きや、国内の賃金・物価動向を引き続き見極める。
植田和男総裁が午後3時半に記者会見し、決定内容を説明する。
7月末の会合で0.25%への利上げを決めてから、利上げ見送りは3会合連続となった。9人の政策委員のうち、田村直樹審議委員が0.5%に利上げするよう議案を提出し、金利の据え置きに反対した。
日銀は国内の経済・物価情勢はおおむね想定通りに推移しているとみる。円安がさらに進展し継続するといった状況にならなければ、想定より物価が上振れするリスクは大きくないとみて利上げを急いでいない。
植田総裁は11月の日本経済新聞のインタビューで「米国の経済政策の先行きがどうなるか、大きなクエスチョンマークがある」と発言したほか、来年の春季労使交渉(春闘)について「どういうモメンタム(勢い)になるか。それはみたい」とも言及していた。
日銀は米国の経済政策の動向を引き続き注視する。日銀の会合に先立ち、米連邦準備理事会(FRB)は現地時間の18日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予測通り、3会合連続となる利下げを決めた。日銀はFRBの判断もふまえて現状維持を決めたとみられる。
今回の決定会合では過去25年間の金融政策を検証した「多角的レビュー」についても議論し、結果を発表した。
13年以降の量的・質的金融緩和(異次元緩和)について「経済・物価を押し上げた」と評価したものの、「導入当初に想定していたほどの効果は発揮しなかった」とも指摘した。「今後、マイナスの影響が大きくなる可能性に留意」とも記した。
植田総裁はこうした非伝統的な緩和策は「普通の利下げの完全な代替にはならない」と述べていた。
市場は2025年1月の利上げを有力視している。変動金利と固定金利を交換するスワップ市場(OIS市場)の金利をもとに、東短リサーチと東短ICAPが算出した市場が織り込む利上げ確率は19日午前時点で12月会合は19%にとどまり、25年1月会合が60%となっていた。
植田総裁が会合後の記者会見で早期の追加利上げに慎重なスタンスを示せば、円売り・ドル買いが広がる可能性もある。植田総裁がどのような発信をするかに注目が集まっている。
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