日本証券業協会は18日、野村証券が日本国債の先物取引で相場操縦をしていた問題で、同社に過怠金3000万円の処分を科したと発表した。経営管理体制などの強化も勧告した。同協会の森田敏夫会長は記者会見で「私も当時、同社の社長という立場であり責任を感じている」と話した。
同社に対しては金融庁が10月に2176万円の課徴金納付命令を出していた。実際に取引を成立させる意思がないにもかかわらず大量に売買注文を出す「見せ玉」と呼ばれる手口で不正に価格を操作していた。
森田会長は「市場における公正な価格形成に対する同社の信頼を失墜させるもので誠に遺憾だ」と述べた。
野村証券では広島支店に所属していた元社員が顧客宅で現金約1787万円を奪い、放火して殺害しようとしたとして、強盗殺人未遂と現住建造物等放火の罪で11月に起訴された。
森田会長は訪問営業に関し「(事件の)影響はあるだろう。顧客の求めに寄り添った対応をすべきだ」と語った。
三井住友信託銀行や東京証券取引所、金融庁などでもインサイダー取引といった不正が相次いで発覚している。金融界での度重なる不祥事について「(証券業は)顧客からの信頼の上に成り立つビジネスであり、あってはならないことだ」と言及した。
森田会長は「一部の人におごり、緩み、甘い考えはなかったかが今一度問われている」とも指摘した。その上で今後、協会として「できるだけ早く、倫理研修を拡充するなどの対応を講じていきたい」との考えを示した。
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