観光協会などと連携して御宿場印をつくった

埼玉県信用金庫(埼玉県熊谷市)や川口信用金庫(同県川口市)などは、寺社の御朱印のように宿場町に「御宿場印」を用意し、観光客の周遊を促す催しを始めた。中山道で東京から群馬まで18の宿場町に本支店を置く信金が連携。足立成和信用金庫(東京・足立)が始めた「御宿場印プロジェクト」の一環で、地域経済の活性化につなげる。

プロジェクトは足立成和信金が新型コロナウイルス禍で疲弊した地域経済を立て直す目的で2021年に始めた。地域の歴史・観光資源である宿場町を活用して御宿場印を作成。御宿場印集めを目的とした来街者を増やしながら、消費喚起につなげる。

今回は巣鴨信用金庫(東京・豊島)、高崎信用金庫(群馬県高崎市)、しののめ信用金庫(同県富岡市)を含む中山道沿いの5信金が足立成和信金と連携し、中山道の起点日本橋(東京・中央)から群馬・長野県境の碓氷峠の手前にある坂本宿(群馬県安中市)まで18の御宿場印を作成した。

保存用の御宿場印帳とあわせて地元観光団体などに寄贈。御宿場印ははがきサイズで1枚300円、御宿場印帳は2750円で販売する。今後は販売収益を増刷に充て、各地で販売を続けていく。

中山道での御宿場印めぐりの開始にあわせ、記念式典を開いた(11月、埼玉県熊谷市)

埼玉県信金の池田啓一理事長は「これまで中心市街地の活性化を掲げてきた。企業支援だけでなく、訪れる人を増やすという理念が一致した。信金が動くことで観光協会や行政による来訪者を増やす策につながっていくのでは」と話した。

これまで同プロジェクトでは日光街道や東海道など209カ所で御宿場印を発行した。観光協会など地元との連携も重視し、ネットワークの構築、地元意識の向上にもつなげている。川口信金の飯田雅弘理事長は「地盤である埼玉県南地域は都内からの流入者が多い。地元意識を高め、街の歴史を知るきっかけにしたい」と話した。

(浅野夏樹)

中山道

五街道の一つで、東京・日本橋から京都・三条大橋までを結ぶ。全長約530キロメートルと最も長く、同じく日本橋と京都を結ぶ東海道の53に比べ、16カ所多い69の宿場町がある。大名の参勤交代や年貢米の輸送以外に、善光寺(長野市)や伊勢神宮(三重県伊勢市)へのルートとしても栄えた。

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