連合が27日に開催したメーデー中央大会は、衆院3補欠選挙(28日投開票)で「審判」を受ける顔ぶれが集う異例の場となった。岸田文雄首相(自民党総裁)と立憲民主党の泉健太代表は、島根1区で激突する与野党のトップ。国民民主党の玉木雄一郎代表と小池百合子東京都知事は、東京15区の無所属新人を連携して応援する。「労働者の祭典」の壇上で4氏の思惑が静かに交錯した。

小雨がぱらつく東京・代々木公園。政府代表として登壇した首相は、さながら「敵」に囲まれた様相だった。

島根1区では、玉木氏率いる国民民主も立民元職を県連レベルで支援する。そもそも、大会主催者の連合は立民、国民民主の最大の支援組織であり、21日には芳野友子会長が島根まで応援に乗り込んだ。

連合の芳野会長はやんわりと苦言

芳野氏は大会でのあいさつで、自民派閥政治資金パーティー収入不記載事件などを念頭に、やんわりと苦言を口にした。

「政治への分厚い無関心層が横たわっているといわれる。裏金とか負担増とか、日々の生活を豊かにすることからかけ離れていて、政治に共感できないのではないか」

首相は相当バツが悪かったに違いない。対する泉氏は、3補選で優勢が伝えられる状況を意識してか「政治を変える局面が来ている」と高揚感をにじませた。

もっとも、泉、玉木、小池各氏が、一枚岩になって自民と対峙しているわけでは決してない。

島根1区と長崎3区で立民と連携する国民民主は、東京15区では小池氏が支援する新人を推薦した。立民と日本維新の会、そして「国民民主・小池連合」が議席を争う構図だ。泉氏と玉木氏は、次期衆院選を見据えて基本政策一致を図る協議の可能性を模索しているが、補選で対応が分かれたことで禍根を残す可能性もある。

最注目は与野党対決の島根1区

いずれにせよ、今回の補選の最注目区は唯一の与野党対決となった島根1区だ。大会の式典後、首相と泉氏はそれぞれ大票田の松江市に入り、選挙戦最終日の街頭演説に臨んだ。

首相は、不記載事件を受けた政治資金規正法改正を巡って「二度と起こさないルールを作っていかなければならない」と強調し、信頼回復を図る姿勢をアピールした。

泉氏は、立民元職が与党支持層を取り込みつつあると手応えを語り、「一人一人が判断して投票することで政治改革が前に進む」と声を張り上げた。(松本学、永井大輔)

衆院補選立候補者(届け出順)

▽東京15区 (9人)

福永活也43 弁護士 諸 新

乙武洋匡48 作家 無 新 【国】

吉川里奈36 看護師 参 新

秋元司52 元環境副大臣 無 元

金沢結衣33 元食品会社員 維 新 【教】

根本良輔29 IT会社経営 諸 新

酒井菜摘37 元区議 立 新

飯山陽48 大学客員教授 諸 新

須藤元気46 前参院議員 無 新

▽島根1区 (2人)

錦織功政55 元財務省職員 自 新 【公】

亀井亜紀子58 党県代表 立 元

▽長崎3区 (2人)

山田勝彦44 党県副代表 立 前 【社】

井上翔一朗40 学習塾経営 維 新 【教】

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