日銀の中村豊明審議委員は5日の記者会見で12月の金融政策決定会合での追加利上げについて問われ、「中小企業がまだ少し弱いという印象を持っているが、今後出てくるデータに基づいて判断したい」と述べた。具体的には毎月勤労統計調査や国内総生産(GDP)統計などを挙げた。
同日広島市で開いた金融経済懇談会後に記者会見した。日銀は18〜19日に金融政策決定会合を控えている。中村氏は3月会合でのマイナス金利解除、7月会合での追加利上げに反対した。「(利上げに慎重な)『ハト派』と言われているようだが、決してそういうつもりはない」と説明した。
中小企業で従業員あたりの営業利益や設備投資の水準が大手や中堅と比べて弱いことを示して「懸念を持っている」と指摘した。「中小はまだ新型コロナウイルス禍前を超えていない。成長志向の企業が拡大しないか期待して待っている」とも話した。
中小でも賃金は上昇しているが、業績改善が伴っていないにもかかわらず人手確保のために賃上げする「防衛的な賃上げがうかがえる」と論じた。こうした中小では持続的な賃上げが「難しくなる局面がいずれ出てくる」と語った。
会見前の金融経済懇談会での講演では「物価上昇に負けない成長型経済への大きな変革の芽が出ている。これが順調に育つように、経済の回復状況に応じて金融緩和度合いを慎重に調節していくことが重要な局面だ」と述べた。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。