日銀が2日発表した11月の債券市場サーベイによると、債券市場の取引の頻度や円滑さを示す機能度判断指数(DI)はマイナス20だった。前回8月調査のマイナス23からマイナス幅が縮小した。DIは7四半期連続で改善したが国債買い入れの減額ペースが緩やかなことから、小幅にとどまった。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「日銀は3月にマイナス金利を解除し、長短金利操作を撤廃したものの、国債の保有比率が高い状況は変わっていない。今後もゆっくりとしたDIの改善が続く」と指摘する。
DIは市場機能度が「高い」と答えた割合から「低い」を引いた値で、銀行や証券会社を対象に日銀が3カ月ごとに調査している。今回の調査期間は11月1〜8日だった。調査は日銀が市場との対話を強化するのが目的で、今回は74の調査先から回答を得た。
DIは2015年11月(マイナス13)以来の水準となった。日銀は8月から国債買い入れ減額を始めた。四半期ごとに4000億円ずつ買い入れを減らしていく計画だ。市場参加者が金利上昇による取引量の増加を評価したことが、機能度の改善につながったとみられる。
債券の買い手と売り手が提示する最良価格の差を指す「ビッド・アスク・スプレッド」は、「タイト」との回答から「ワイド」を引いた判断DIがマイナス30と前回から9ポイント改善した。
今回の調査で聞いた長期金利の先行きは、新発10年債利回りの24年度末の見通し(中央値)が1.10%だった。8月調査の時点では1.15%だった。25年度末は1.30%、26年度末は1.40%と上昇が続く予想となった。
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