◆「物価高克服のため」と言っていたが、克服されないまま
「痛み止めを飲んでいるようなものです」。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「対症療法」的施策が並んだ今回の経済対策をこう評した。ガソリンへの補助などは「物価高克服のため」と銘打って、岸田政権でも行われてきた。だが、いまだ克服されていない。政府の経済対策を決める臨時閣議に臨む石破首相(中央)ら=佐藤哲紀撮影
さらに、物価高時に、ガソリンなどの価格抑制策や給付金など消費を促すような政策を打つと、消費が減りにくくなりかえって物価高を助長する懸念もある。◆「場当たり的で長期間に及んでいる」
国民民主が要望して対策に明記された「103万円の壁引き上げ」は確かに手取りを増やす。だが、物価高が続けば、その効果もどんどん薄れる。根本的な物価高対策を打たなければ、これも対症療法になりかねない。 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「対症療法は他国も行うが、場当たり的で長期間に及んでいるのが日本の特徴」と指摘。その上で「大事なのは、持続的に実質賃金を上げていくこと。実現するには、企業の『生産性』を高めることが必要だ」と強調する。 生産性とは、1人当たりが生み出すモノやサービスのこと。生産性が高まれば、製品の値上げをしなくても企業の利益は増える。こうして得た”果実”を賃上げに振り向け続けられれば、持続的に物価上昇を上回る賃上げが可能となる。上野氏は「企業の設備投資、研究開発、教育、効率化を政府が側面支援する取り組みを、一層強く進めていくべきだ」と訴える。記事に『リアクション』ができます。ご利用には会員登録が必要です。
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