【ニューヨーク=竹内弘文】米ニューヨーク・マンハッタンの連邦地裁判事は20日、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメント創業者のビル・ホワン被告に、取引先金融機関への詐欺などで禁錮18年の判決を下した。アルケゴスの高リスク運用の失敗は欧州金融大手クレディ・スイス・グループが事実上破綻する一因となった。
アルケゴスは、大手ヘッジファンドで運用経験を積んだホワン被告が設立した資産管理会社。デリバティブ(金融派生商品)や大手金融機関からの借り入れで持ち高を拡大し、高い投資収益を狙う高リスク運用戦略をとっていた。
裁判資料などによるとアルケゴスは最大360億ドル(約5兆6000億円)もの資金を運用していたが、2021年3月に運用に行き詰まった。持ち高拡大のために、ホワン被告はアルケゴスが取っていた運用リスクの全体像についての虚偽説明で共謀し、不正に与信を受けていたと裁判で認定された。
クレディ・スイスのほか、米モルガン・スタンレー、日本の野村ホールディングスといったアルケゴスの取引相手が負った損失額は計100億ドル以上にのぼった。クレディ・スイスは経営体力が低下し、23年3月に経営危機に陥り、UBSに救済合併された。
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