東京海上ホールディングス(HD)は19日、建設コンサルティングのID&Eホールディングスを買収すると発表した。11月20日から2025年1月15日にかけてTOB(株式公開買い付け)を実施する。全株式を取得した場合の買収額は980億円程度となる。河川や上下水道、都市開発のコンサルを手掛ける同社を傘下に収め、防災や減災につながる取り組みを強化する。
TOB価格は1株あたり6500円で、プレミアム(上乗せ幅)は19日の終値比で63%となる。ID&Eは今回のTOBに賛同しており、東証プライム市場に上場しているID&EはTOBの成立で上場廃止となる。
ID&Eは傘下に1946年設立の日本工営などを抱え、23年7月に現在の持ち株会社制に移行した。24年6月期の連結決算は純利益が96億円だった。
東京海上HDは従来の保険ビジネスに加え、自然災害による被害を抑える取り組みに力を入れている。災害の被害が大規模化するなかでも、企業活動の維持を後押しするための解決策を企業に示す「東京海上レジリエンス」を23年11月に設立。今年5月に公表した中期経営計画でも防災・減災の領域を事業の柱に育てる方針を示していた。
傘下の東京海上日動火災保険では22年春から、日本工営を含めた企業などと災害に関するリスクデータをもとに新たなビジネスの創出をめざす試みも進めている。19日に記者会見した東京海上HDの岡田健司専務はID&Eを「大変な事業基盤や技術者集団を持っている」と評したうえで「災害のレジリエンス(復元力)に関わる領域でソリューションを一気通貫に提供したい」と話した。
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