26日の外国為替市場の円相場は1ドル=156円台に突入、約34年ぶりの安値となった。関西には国内で製品を生産して海外に輸出している製造業が多く、円安のメリットを享受する企業が多い。政府・日銀による為替介入への警戒感は日に日に高まるが「円安は当面続く」とみる企業もある。
関西に本社を置く一部の企業は、対ドルで1円振れると年間の営業損益がどれだけ変動するかを示す為替感応度を公表している。
クボタは本業のもうけを示す営業利益について、1円の円安によって年間で30億円押し上げる効果があるとする。農機や建機を主力とする同社は売上高に占める海外比率が79%と高く、海外で販売する製品の55%を国内で生産していることから、円安は大きな増益要因となる。同社は「円安の利益に対する恩恵は大きい。米国の利下げが先送りになる雰囲気も見えているようであり、円安は続く可能性が高いと思う」とみる。
ニデックも営業利益が11億円増える。家電・商業・産業用製品を中心にプラスに働くことが要因。同社の佐村彰宣最高財務責任者(CFO)は23日の決算発表で今後の見通しについて「中長期的に見ても円高になる要素は多くないとみている」と述べた。
パナソニックホールディングスは調整後営業利益ベースで13億円の押し上げ効果がある。電気自動車(EV)用の車載電池や電材など、海外への輸出がある事業で円安がプラスに働く。一方で、家電の中には海外で生産し、日本国内に輸入して販売する製品もあり、円安が不利に働く面もある。そのため、家電を含むくらし事業では円安が営業利益を押し上げる要因とはなっていない。
(桑島浩任)
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