日本航空は26日、22日の羽田発米ダラス行きの便(JL12便)に乗務した機長が到着後に客室乗務員(CA)らと飲酒してホテルで騒ぎ、警察から口頭注意を受けたことを明らかにした。機長は2日後の24日の羽田行きの便(JL11便)に乗務できず、欠航になった。
「飲酒に起因する不適切な行動でこのような事態を発生させてしまい、大変重大に受け止めている」。26日に記者に説明をした日航の南正樹執行役員はこう陳謝し、頭を下げた。
日航は問題を起こした機長の心身の状態を確認するため、乗務させるべきではないと判断。代わりの乗務員の手配に時間がかかることから欠航にした。157人が予約していたが、「乗員の体調不良による乗員繰り」によって欠航すると説明し、お詫びをしたうえで振り替え便を手配。大半の乗客が24日のアメリカン航空の直行便に搭乗できたという。
日航は25日に国交省に報告し、乗客への対応に万全を尽くすことと、実効性のある再発防止策を作成するよう指示を受けた。本人や同席者に事実関係の確認をしたうえで、該当機長にしかるべき対応をするという。
49歳機長、3次会へ
この機長は49歳男性で常務歴は21年3カ月、機長経験は1年1カ月のキャリア。これまでお酒で警察沙汰などの問題を起こしたことなどは確認されていない。
22日はダラス空港に到着後、現地時間18時に当該の機長を含む機長2人、副操縦士1人、CA4人のメンバーでレストランで食事会を開始。その後、ホテルに戻りラウンジで2次会、23時からは該当機長の部屋で3次会を行った。
この間、メンバーで飲んだお酒の総量は「ワイン7本相当、330ミリリットルの缶ビール12~18本」(南氏)だったという。
部屋飲みうるさく苦情
23時から機長の部屋で始まった3次会は、騒がしかったため、ホテルスタッフから注意され、翌2時にお開きに。その際、他のメンバーと一緒に部屋を出た機長は足元がおぼついておらず、ホテルスタッフに言われてロビーに移動。ロビーでのやり取りで声が大きく、受け答えも困難であったため、ホテルスタッフが警察を警察を呼ぶ事態になったのだという。
「もちろん暴力などは振るっていないし、逮捕もされていない。罵声などもあげていない」(南氏)。普通に話していても大きい声になるくらい酔っていたので、ホテルスタッフが警察にケアをお願いしたというのが事の顛末のようだ。
過去にも酒の不祥事
とはいえ、アルコール絡みで警察沙汰になったのは事実。日航では2019年4~9月にかけて、国際線機長や国内線副操縦士ら計3人から乗務前の吸気検査でアルコールを検出。いずれも乗務前日や当日に飲酒していたことが判明しており、国交相から業務改善命令を受けている。
それ以降、アルコールとの適切な付き合い方を周知し、各組織の所属長から知識の定着や個人別の面談などで社内教育も続けているというが、それでも望ましい飲酒量から逸脱するケースが発生したことに、「これまでの取り組みの有効性を調査して、取り組みを前に進めたい」と南氏は語った。(万福博之)
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