日銀が13日発表した10月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は123.7と前年同月比で3.4%上昇した。23年8月(3.5%上昇)以来の高い伸び率となり、指数は2カ月連続で過去最高を更新した。民間予測の中央値(3.0%上昇)より0.4ポイント高かった。精米や玄米を含む農林水産物の伸びが全体を押し上げた。

10月は価格改定月であり、人件費などのコストを価格に転嫁する動きも後押しした。自動車用部品を含む輸送用機器などで大企業から中小・中堅企業へ、価格転嫁のすそ野が広がった。

企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数とともに今後の消費者物価指数(CPI)に影響を与える。

為替市場での円安進行により、円ベースで輸入物価指数は前月比3.0%上昇と22年9月(5.3%上昇)以来の高い伸びとなった。一方で、原油価格の下落などを背景に前年同月比では2.2%下落した。

非鉄金属は14.6%上昇と9月(9.7%上昇)から伸び率が拡大した。月初に、中国の景気刺激策への期待から銅価格が上昇したことが影響した。

政府の政策も引き続き、企業物価指数に影響を与えた。電力・都市ガス・水道は5.6%上昇と9月(7.9%上昇)から伸び率が鈍化した。再生可能エネルギーの普及のため国が電気代に上乗せしている再エネ賦課金が24年5月から引き上げられたことが前年同月比プラスに寄与した。一方で、9月検針分から再開された電気・ガスの補助金が押し下げ要因となった。

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