日銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利とする無担保コール翌日物レートを0.25%で据え置くと決めた。前回の9月会合に続き、現状維持とした。米大統領選を控え米国経済の不確実性が高まっていることや、金融市場がなお不安定なことなどが背景にある。
9人の政策委員の全会一致で決めた。午後3時半に植田和男総裁が記者会見し、決定内容を説明する。市場関係者の大多数が現状維持を見込んでいた。日銀は7月会合で短期金利を0.25%に引き上げると決め、その後は2会合連続で据え置いた。
3カ月ごとにまとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も公表した。消費者物価指数(生鮮除く)の前の年度からの伸び率は、2024年度は2.5%、25年度と26年度はいずれも1.9%との見通しを示した。24年度と26年度は7月の展望リポートと同水準、25年度は0.2ポイント引き下げた。
日銀は経済・物価が見通しに沿って推移していれば金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整する方針だ。現時点でも順調に推移しているとみている。もっとも、先行きは不確実性が高まっており、利上げを見送ったもようだ。
植田総裁は24日の米国での記者会見で米国経済について、米大統領選も含めて「日本の物価にどう影響するか、丹念に分析して見極めていく」と述べた。 「マーケットは一応、引き続き不安定な状況にある」とも言及した。
国内では27日に投開票した衆院選で自民党と公明党が敗北し、政治情勢が不安定になっている。外国為替市場では円安も再燃し、金融政策の先行きに圧力をかけ始めている。日銀は経済対策や金融市場の動向が経済・物価に与える影響を注視している。
植田総裁の記者会見では、発信がどのように変化するかが焦点となる。前回・9月会合後の記者会見で、今後の利上げ判断を巡り「海外経済の状況などについて丁寧に確認していく時間的な余裕はある」と語った。以後、「時間的余裕」との表現を踏襲してきた。
午後の記者会見でこうした表現をやめれば利上げが近いというシグナルとして受け止められる可能性がある。一方、同様の発信を続ければ利上げは遠いとの観測が強まる可能性がある。市場は植田総裁が今後の利上げを巡りどのような発言をするか注目している。
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