東洋証券は30日、2028年3月末までの新たな中期経営計画を公表した。24年3月末時点で3.5%のROE(自己資本利益率)を8%以上に高める。小川憲洋社長は同日の記者会見で「安定収益の確保が一番重要だ」と述べ、対面営業や中国株販売をてこ入れする方針を示した。
24年3月末時点で1兆3280億円だった預かり資産残高は1兆5000億円以上に伸ばす。631億円にとどまる少額投資非課税制度(NISA)口座残高は1040億円以上をめざす。
小川氏は「資産管理型に軸足を置いた営業に転換する」と述べ、顧客満足度に関する指標も新たに数値目標に加えた。証券業界で先駆けて1990年代に参入した中国株販売は現地法人の情報収集を強めて「ブランドを再構築する」と説明した。
ROE目標に関しては「8%目線を常に念頭に置く」と明言した。本業を立て直す中計期間中も8%の水準を維持するため、純投資目的で保有する有価証券の売却を続ける方針を示した。
2024年4〜9月期の連結決算では11億円の特別利益を計上し、純利益は前年同期の3倍の14億円になった。今後3年程度は有価証券売却益の計上を続けるという。
東洋証券は6月の定時株主総会の直前に、当時の桑原理哲社長の取締役選任議案を撤回し、その後小川氏が社長に就任した。小川氏は自身が営業畑のプロパー社員であることに触れた上で「現場の状況が大きく変わってきていることを肌で感じている」と話した。
株主総会では3割弱の議決権を持つ物言う株主(アクティビスト)が経営陣の刷新を主張したことが選任案撤回の要因となった。小川氏は「同じことを繰り返さないために様々な株主の声を聞きながら対話する」と話した。
東洋証券のPBR(株価純資産倍率)は10月30日時点で1.10倍で、近くは1倍近辺で推移している。小川氏は「今の業績を考えると若干高い印象を受ける。本業でPBR1倍を継続的に維持できる体制にしていきたい」と唱えた。
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