海外で普及する「信用スコア」が日本で本格始動する。信用情報機関のシー・アイ・シー(東京・新宿、CIC)は29日、融資などの判断材料となる消費者の信用力を数値化するサービスを11月下旬から始めると発表した。消費者に信用力をより意識してもらい多重債務防止につなげる。
国内でも銀行や通信会社など一部が信用スコアに参入していたが、個別の取り組みにとどまっていた。800社を超える企業が加盟するCICが乗り出せば国内標準になりうる。信用力を測る要素が増えることで、フィンテックによる新たな融資関連サービスなどにつながる可能性もありそうだ。
消費者は11月28日以降にCICのホームページで申し込むと、インターネットか郵送で信用数値を確認できる。200〜800で大きいほど信用力が高い。
金融機関ごとの契約内容や支払い状況といった信用情報開示と合わせて提供する。「未入金がないため数値にプラスの影響を与えた」などといった算出理由も最大4つ併記する。2025年4月1日からクレジットカード会社や信販会社など加盟企業に信用数値を提供するという。
取締役会の諮問機関にあたる消費者委員会も設置した。外部有識者で構成し、信用数値の精度やあり方を審議する。同委員会の助言・評価をもとにサービスの品質を検証し、必要があると判断すれば算出要素なども見直す。
米国ではフェア・アイザックのスコア「FICO(ファイコ)」が普及している。信用情報機関などのデータを活用し、300〜850点で算出している。中国ではアリババ集団系の「芝麻信用」、欧州では信用調査会社の英エクスペリアンが手掛けるスコアが広く使われている。
海外では融資だけでなく、賃貸契約や採用など日常のあらゆるシーンで活用されている。CICは海外と異なり、用途を加盟各社の審査や融資の判断に限定した。使途を限定することで消費者から理解を得るためだ。
CICの信用数値は与信判断の「参考値」としての色合いが濃く、消費者は加盟企業への提供停止を求めることができる。停止期間中でも自分の数値を確認でき、いつでも停止を解除できる。年齢や性別、勤務先、居住地などの属性情報を算出要素から除いた点も海外の一般的なスコアとは異なる。
数値算出に用いる項目とその割合も公開している。最も割合が高いのは支払い状況(36.5%)で、残高(31.8%)、契約数(13.6%)と続く。仮に支払い状況や残高などが全て同じであれば、年収や保有資産に差があっても算出される数値は同じになる。
【関連記事】
- ・自分の信用情報、閲覧可能に クレジット機関が数値開示
- ・若者の債務相談増、19歳で破産も 成人年齢下げ影響か
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。