10月1日に連載を始めた「YOUTH FINANCE」は、編集後記の番外編を含めて7本の記事を公開しました。20代の記者が同世代に読んでほしいネタを書くというコンセプトは少しずつ浸透しているようで、20〜30代の読者が多く読んでくれているみたいです。
4〜6回目は、働き方、投資、フィンテックと様々なテーマで展開しました。若い人が何に関心を持ち、どんなことに悩んでいるかが伝わるよう編集の際にも心がけました。経営者でも政治家でもなく、普通に社会で働き、生活している若い人の息づかいを伝えられないかと思い、取材対象の発言(社内では『カギカッコ』と言っています)を多く記事に盛り込むようにしています。
私自身も試しにという気持ちで、6回目に登場するソニー銀行のNFT(非代替性トークン)のアプリをダウンロードし、人気歌手LiSAさんのNFTを手に入れてみました。アプリ上の「マイルーム」に飾るとなんだかうれしい気持ちになり、誰しも少なからず持つコレクター魂をくすぐられた気分でした。
それぞれの回の執筆者も取材をしながら感じるものが多かったようです。記事に託した思いや、取材時に感じたことを語ってもらいました。
(金融グループ次長 飯山順)
④仕事は生きがい、25歳ファンドマネージャーが映す若者像新卒3年目で国内の運用会社のファンドマネージャーに抜てきされた25歳の松本凌佳さん。自らが「迷走していた」と明かす学生時代から何がきっかけで金融業界に足を踏み入れたのか。「夢だったわけではない」というファンドマネージャーになり、心を躍らせて働くようになったプロセスは、将来の夢を持ちづらい多くの若者の参考になる…記事を読む
社会人2年目になり、ライフプランやキャリアプランを考えるようになりました。友人と話すと「ロールモデル」探しが始まります。
「大学の先輩は結婚して時短勤務していて理想的」「フルリモートで働いている同級生が海外にいて羨ましい」など、人によって見つけるロールモデルが全く異なるのも興味深いです。世の中には色々な働き方や価値観があることに気づかされます。
取材させてもらった松本凌佳さんを初めてお見かけしたのは、新しい投資信託の説明会でした。「同世代で投信のファンドマネージャーをしている人がいる」と驚いたのと同時に「運用会社への就職を志望する人たちのロールモデルを発見した」と思いました。
この企画の読者のおよそ半分は30代までの若者のようです。同世代に読まれる記事を書きながら自分自身もロールモデルを見つけていければと思っています。
(森川美咲)
⑤SNS詐欺から若者守れ 金融庁が頼った「うんこクイズ」「うんこクイズじゃ、2つに共通するのは?」。若者への訴求力を見込み、金融庁が金融犯罪対策の動画配信のコラボ相手として頼ったのは、文響社(東京・港)の子ども向け学習教材「うんこドリル」だった…記事を読む
最近、連続強盗事件の報道を耳にする機会が多いです。一連の事件はSNSの闇バイトでメンバーが集められた疑いがあることがわかっています。生活するお金に困り、SNSで高額な報酬をうたう求人に応募したことがきっかけで、知らない間に犯罪に加担しているケースが多いようです。
若者の被害が拡大している金融犯罪も同じ構図ではないかと思います。記事で紹介した20代の女性もSNSで副業の求人広告を見たのがきっかけでした。自分はだまされないと信じ込まず、誰もが「じぶんごと」としてこうした事例を知ることが大事になってくるのではないかと痛感しました。
文響社の「うんこクイズ」はその点で効果的なコンテンツだと感じました。金融庁という意外なコラボ相手だからこそ、多くの人の目にふれることができるはずです。今までの常識にとらわれず対策する大切さを伝えられればと思い、取材しました。
(三原昂大)
⑥NFT×推し活、ソニー銀が収集アプリ 若者にアプローチ9月中旬に大阪で開かれた人気歌手LiSAさんのライブ会場。限定グッズを得ようとスマートフォンを取り出すファンの姿があった。お目当てはデジタル資産の保有を証明できるNFT(非代替性トークン)。参加者だけがアーティストの写真やフィギュアなどのNFTを得られるしかけだ…記事を読む
2021年のユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされた「推し活」。博報堂と博報堂DYホールディングス子会社のSIGNING(サイニング、東京・港)が24年2月に公表した「オシノミクスレポート」によると、全国10~69歳の男女のうち「推しがいる」と答えた人は34.6%でした。10代の女性では83.3%に推しがいるそうです。
若い世代を中心にK-POPアーティストが爆発的に流行しているほか、国内でも新しいジャンルのポップカルチャーが次々に登場し、推し活の裾野は広がってきていると感じます。
私自身も男性アイドルグループ「SixTONES(ストーンズ)」が好きで、コンサートに熱心に足を運んでいた時期がありました。ライブ会場にはたくさんの限定グッズが売られていて、ファン心をくすぐります。アルバイト代で何とか工面していた学生時代とは違い、社会人になれば、気軽によりたくさん自分の推しにお金を使うことができます。
今回記事で取り上げたソニー銀行のNFTの収集アプリは、多くの有名アーティストを抱えるソニーグループとの連携で生まれたアイデアです。今後アプリに決済機能を搭載できれば、グッズ購入時などにソニー銀行が金融サービスを提供することができ、推し活から金融サービスへとビジネスは広がっていきます。
金融機関を取材していると、頻繁に話題に上がるのが若年層の獲得です。少子高齢化、人口減少が急速に進む国内マーケットでは将来、主要な顧客になりうる若年層にいかに早くアプローチできるかが喫緊の課題のようです。とはいえ伝統的な金融サービスから離れつつある若年層との接点を持つことはそう簡単ではありません。「推し活×金融サービス」には金融機関のそうした切実な願いが込められているのかもしれません。
(高橋理穂)
【YOUTH FINANCE 連載記事】
- ①コピペで「バフェット投資」 スマホ完結で若者も気軽に
- ②女子会で投資ノウハウ、旅行・美容語って金融も自分事に
- ③20代で外資金融やめた理由 「背を見て学べ」はもう古い
- ①〜③編集後記 働き方、資産形成に悩む20代 答えは同世代の声にあり
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