【ニューヨーク=竹内弘文】ニューヨーク証券取引所(NYSE)は25日、取引時間を1日22時間へ延長する計画を発表した。時間外取引を含めた現状の16時間から伸ばし、米国外の投資家が米国株を取引するニーズに対応する。米国株の求心力が一段と高まりそうだ。
夜間取引を計6時間延長へ、25年から
NYSEは現在、平日の米東部時間の午前9時30分から午後4時の取引時間のほか、傘下の電子取引所NYSE Arcaを通じて午前4時〜9時半、午後4〜8時の時間外取引を提供している。今回発表した計画では、時間外取引で午前の部の開始時間を午前1時30分に、午後の部の終了時間を午後11時30分とする。米国上場株式のほか、上場投資信託(ETF)も対象だ。
実施には米証券取引委員会(SEC)からの承認が前提となる。NYSEは近く取引所規則の改正をSECに申請する予定で、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)はNYSEが25年中の実施を目指していると伝えた。
NYSEの市場部門責任者、ケビン・ティレル氏は声明で「米国に上場する企業やファンドの取引を世界中のタイムゾーンの投資家に提供する先進的な役割を担う」と述べた。
世界の主要な証取でほぼ1日中取引を提供する事例は初めてとなる。NYSEは今春、市場参加者を対象に24時間取引に関するアンケート調査を実施していた。
米国株の夜間取引では「代替取引システム(ATS)」と呼ばれる、取引所外売買プラットフォームが先行する。米ブルーオーシャン・テクノロジーズが運営するATSは、午後8時〜翌日午前4時に取引サービスを提供する。韓国や日本などアジア勢の投資家の売買注文が増えている。
世界の証取が競争、東証も取引時間を延長
ブルーオーシャンのブライアン・ハインドマン最高経営責任者(CEO)は5月、日本経済新聞の取材に対し「NYSEのような競合他社が(夜間取引に)加わることで、売買のパイは大きくなっていく」と競争を歓迎する。ブルーオーシャンには東京証券取引所が5%出資する。
NYSEの取引時間延長は、ブルーオーシャンが担っていた米国株の夜間取引の需要を取り込もうとするものだ。取引が増えれば日本でも知名度や人気の高いエヌビディアやアップルの株式の流動性がさらに高まり、日本の投資家にとってもメリットはありそうだ。
各国の証取の取引時間延長の議論にも影響する可能性がある。東証は11月5日から終了時刻を従来の午後3時から午後3時30分にする。取引時間が長い米欧の主要証取との競争条件を整える狙いだ。ただ、NYSEの22時間取引が実現すれば証取間の競争環境は再び変わっていく。
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