マクラーレン750Sスパイダー。4リッターV8エンジンが750馬力を叩き出すスーパーカーだ。スタートから7・3秒で時速200キロに達し、最高速度は332キロというから、新幹線を置き去りにできるスピード。カーボンファイバーを多用し車重をわずか1326キロに抑え込む。価格は4300万円と、すべてにおいて破格なクルマ。F1の技術を市販車にフィードバックした、世界屈指のモンスターマシンに試乗した。
マクラーレンは正式名称を「マクラーレン・オートモーティブ」といい、イギリスに本拠をおく。
ランボルギーニのウルスやフェラーリのプロサングエなど、SUVが拡大の一途だが、マクラーレンは流行には目もくれずワイド&ローなスーパーカーを作り続ける。
ラインナップは、ユーザーの嗜好に合わせてGT・スーパーカー・アルティメイトの3つのカテゴリーが並ぶ。
GTは長距離のクルージングに対応し、アルティメイトはマクラーレンの頂点となる限定生産のグレード。500台限定の「セナ」や、2億5000万円の「スピードテール」などが話題を集めた。
750Sはスーパーカーシリーズのモデルで、サーキット走行も余裕でこなす。昨年4月に発表され8月に販売が始まった。2017年にデビューした720Sの進化形で、名前の通り30馬力が上乗せされる。マクラーレン史上最も軽量かつ最もパワフルなモデルという。
クローズドボディとオープンが用意され、最高速度や加速は同等で、価格はオープンが300万円ほど高くなる。
滑らかな曲線で構成されるボディーは、これまでの伝統を受け継ぎ一目でマクラーレンとわかる迫力あるデザイン。最大の特徴でもある「ディヘドラルドア」は、翼のように空に向かって存在感を主張する。
迫力ある表情を生み出すヘッドライトは「アイソケット」といい、2つの機能をもつ。上部にあるLEDヘッドライトは、デジタル技術で、照射角などをコントロールする。
下側にはエアダクトを備え、サブラジエターに冷たい空気を送り込む。
スパイダーに装備されるリトラクタブルハードトップは時速50キロまでなら走行中もわずか11秒で開閉可能。風の巻き込みもなくエアコンもよく利き快適なドライブが楽しめる。
ルーフのガラスは、エレクトロクロミックガラスといい、スイッチで透率過が変更でき、晴天ではスモークに、雨天なら透明にできる。
リアエンドは可動式のアクティブ・リアウイングが睨みをきかす。0・5秒で立ち上がり、ダウンフォースを増やすことで、制動時の高速安定性を高めてくれる。ミッドシップに4リッターV8エンジンが収まる750S。エンジンルームには排熱用に設けられた無数の通風孔が美しい幾何学模様を描く。
インテリアはシンプルでラグジュアリーセダンとは違った雰囲気。ブラックを基調として、グレーのパーツがアクセントとなる。ステアリングにスイッチなどはなく、ドライビングに集中できる。
センターコンソールには、スタートスイッチとギアセレクター、ハザード、アイドリングストップ用のスイッチが並ぶ。
お借りした750Sスパイダーは、「アマランス・レッド」と呼ばれる鮮やかなカラーが映える。
大きなドアだが開閉は驚くほど楽だ。助手席に女性を乗せるときでも、乗り降りに困らない。もっともドライバーがアテンドするのが、マナーなのだろうが。
マクラーレンの本拠地イギリスは日本と同じ左側通行を採用する。それもあってイギリスは右ハンドルが標準で、マクラーレンも例外ではない。お借りしたクルマも右ハンドルなのは正直いってうれしい。ミラーを開くと横幅2161ミリのボディーは、狭い場所での取り回しには気をつかう。筆者は普段は右ハンドルしか運転しないので、左右の選択肢があるのなら右ハンドルを選びたい。
運転席はタイトだが、窮屈さはなく、ドライビングポジションはしっかり決まる。超軽量なクルマだが、パワーシートが装備され、微妙な位置決めも問題ない。ステアリングの調整も電動で、メーターも一緒に動くので、常に最適な視界が得られる。
後編に続く
■750Sスパイダー マクラーレン
【 定員 】 2人
【 全長 】 4569㍉
【 全幅 】 1930㍉
【 全高 】 1196㍉
【 車両重量 】 1326㌔
【 エンジン 】 3994㏄V8ツインターボ
【 最高出力 】 750馬力
【 駆動方式 】 ミッドシップ、後輪駆動
【 ミッション 】 7速SSG
【 燃費(WLTPモード) 】 8.2㌔
【 車両本体価格 】 4300万円(税込み)
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