【ニューヨーク=竹内弘文】アクティビスト(物言う株主)の英パリサー・キャピタルが東京建物の株式を取得したことが22日明らかになった。持ち分は1.5%で21日時点の時価総額から算出すると保有額は約70億円に相当する。政策保有株のヒューリック株の売却などを通じて資本効率を改善させれば企業価値を高められると主張している。
ニューヨークで開かれたアクティビスト投資家イベント「13Dモニター・アクティブ・パッシブ・インベスター・サミット」にパリサー創業者のジェームズ・スミス最高投資責任者(CIO)が登壇し、ファンドによる東京建物株取得を明らかにした。
スミス氏は東京建物が保有するヒューリック株などの政策保有株について「相乗効果も(明確な)保有目的もない。売却して得た資金を株主還元に充てるか、高収益の事業に投入すべきだ」と指摘。中期経営計画にヒューリック株すべての売却を明記するよう求めた。
東京建物の2023年12月期の有価証券報告書によると同期末時点の政策保有株は非上場株も含めて約1040億円で、総資産の5%強に相当する。このうちヒューリック株が約601億円と過半を占める。保有する不動産物件も選択と集中を進めて、非中核の資産は売却すべきだとスミス氏は主張した。
資産効率の改善に加えて、取締役会議長に社外取締役の起用など統治改革も会社側に求める考えを示した。各種施策の実施を通じて「株価は最大65%の上昇余地があるというのが当社の見解だ」と述べた。
スミス氏は21年にパリサーを創業する以前、世界有数のアクティビスト、エリオット・マネジメントに務めていた。エリオットは近年、日本株投資を拡大しており、投資先の1社に三井不動産がある。スミス氏が講演で用いたプレゼンテーション資料には三井不動産との比較も多用した。
パリサーは23年にも同じイベントで京成電鉄株の取得を明らかにし、同社保有のオリエンタルランド(OLC)株の一部売却を求める考えを示した。京成電鉄の24年株主総会で、パリサーは保有比率削減を定款に明記する趣旨の株主提案を実施。否決されたものの、約3割の賛成票を得ていた。
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