10月から最低賃金が上がりました。最も高いのは東京都の1163円(時給)で、神奈川県の1162円が続きます。一方、群馬県は985円と都道府県で差があるのはなぜでしょうか。賃金に詳しい浜銀総合研究所(横浜市)の遠藤裕基(ゆうき)上席主任研究員に聞きました。(畑間香織)

◆生活費の高さや低さを確認し公平性を保つ

浜銀総合研究所の遠藤裕基・上席主任研究員=同研究所提供

 Q 最低賃金に地域差があるのはなぜですか。  A 最低賃金は働く人の生活費や企業の賃金支払い能力などを考慮して決められます。住宅や食料、車の維持など生活費の高低を確認して地域別に差をつけ、公平性を保とうとする仕組みだからです。企業の支払い能力にも地域差があり、相対的に支払い能力に余裕のある大企業が都市部に多い一方、中小零細の割合が高い地方では、引き上げに対応できる体力差がある点も考える必要があります。  Q さらに最低賃金を上げても良い?  A 都道府県内の格差是正の視点もあると良いと思います。欧州連合(EU)はフルタイム労働者の賃金の平均値の50%を最低賃金の目安としています。2023年の厚生労働省の統計を用いて、各都道府県の最低賃金がフルタイムの平均賃金の何%になるか計算すると栃木が37.1%と最も低く、下から3番目の東京は39.2%、7番目の神奈川は39.8%と低位でした。働き手の多い東京や神奈川が引き上げに積極的になれば、恩恵が波及すると思います。  Q 企業が引き上げに納得するには。  A 価格転嫁できる環境整備が重要。消費者も価格転嫁を受け入れ、「値上げは嫌だけど、最低賃金は引き上げてほしい」という理屈は通らないと考えるべきです。 

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