<挑む>  小型衛星を活用した事業を展開する宇宙ベンチャー「アクセルスペース」(中央区)。国内の宇宙ビジネスのフロントランナーでもある代表取締役CEO(最高経営責任者)の中村友哉(ゆうや)さん(44)は、「人材や投資が集まるような魅力的な分野にしていきたい」と意気込む。

小型衛星の模型を示しながら事業について説明する中村友哉CEO=中央区で

◆学生時代から打ち上げ、仲間3人で創業

 「大学時代から衛星は社会インフラになると考えていた。ようやく社会の理解が進んできたという思い」。東京大在学中の2003年、学生だけで開発した手のひらサイズの超小型衛星の打ち上げに世界で初めて成功した。就職を考えた時、当時は「衛星を世の中に役立つツールにしたい」いう思いを生かせる企業がなく、2008年、仲間と3人で創業した。  同社の衛星は重さ100キログラム級と小型だ。2013年に気象サービス会社の依頼を受けた衛星を打ち上げて以来、これまでに計9機を打ち上げて運用する。社員は約170人に増えた。

◆農業、防災…依頼は「急加速」

 「小型衛星の需要は急増している」と中村さん。事業は大きく分けて二つある。顧客のニーズに応じて衛星の製造、打ち上げ、運用支援までをパッケージ化した「アクセルライナー」と、自社衛星5機を同じ軌道上に等間隔に配置し、観測画像からニーズに応じたデータを提供する「アクセルグローブ」だ。  アクセルグローブは農業、防災などの分野での依頼が多い。1月に起きた能登半島地震後は、被災地域の画像を無償で公開した。2026年以降、衛星を10機以上の態勢に拡充する予定だ。「世界中どこでも1日1回撮影できるようになる。今後増える見込みの民間ニーズに応えられるようにしたい」 (砂本紅年) 

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