中国産の「黒鉛電極」について、日本向けに不当に安い価格で輸出している疑いがあるとして、財務省と経済産業省は24日、世界貿易機関(WTO)協定や関税定率法に基づき、反ダンピング(不当廉売)関税を適用すべきか調査を始めると発表した。1年から1年半かけて、国内産業への影響など事実関係を確認した上で判断する。
黒鉛電極は、リサイクルのため鉄スクラップを高温で溶かす電気炉に使う円柱状の部材。黒鉛電極を取り扱う日本の主要メーカー3社が2月下旬、課税を訴えていた。
申請書によると、2022年10月~23年9月に中国から日本に入ってきた中国産黒鉛電極を調べたところ、中国国内価格と日本向けの輸出価格の差の大きさを示す不当廉売差額率は37・7%と、WTO協定で適用を認める2%の基準を大きく上回っていた。この結果、中国からの輸入量は18年1~12月の1・14万トンから、22年10月~23年9月には1・3万トンに増えた一方、国産品の販売量は減少したという。
3社は中国産品の国内販売価格が安過ぎるため、「原材料価格の上昇を販売価格に転嫁することができなかった」とし、営業利益の減少など実質的な損害につながったと訴えているという。調査の結果、不公正さが認められれば、中国産黒鉛電極に関税が上乗せされることになる。
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