設立記念式典に参加した滋賀銀行の久保田真也頭取(左から2人目)ら(1日、大津市)=同行提供

滋賀銀行は1日、地域の事業継承を支援する投資専門の子会社「しがぎんキャピタルパートナーズ」(大津市)を全額出資で設立した。後継者が定まらない非上場企業に過半出資して体制を整えた後、価値を高めた保有株を購入時よりも高値で買い戻してもらい利益を得る。滋賀県が本拠の唯一の地銀として地域経済を盛り上げる構えだ。

新会社の村田知之社長によると、未公開株を扱うプライベート・エクイティ・ファンドとして活動する。当面は事業継承支援に力を入れ、創業者の親族や従業員などからの後継者を育成する。適切な後継者が見当たらない場合は人材紹介会社を通じた外部からの招聘(しょうへい)や、M&A(合併・買収)による事業の存続も視野に入れる。

顧客企業は滋賀県や隣接する京都府を軸に募る。この地域には、高い技術と競争力を持ちながら株式を公開せず身内で運営してきた非上場の中小企業が多く、事業継承を巡るニーズは高いと新会社はみている。すでに部品メーカーや建設、IT(情報技術)、運輸などの分野で出資先になりそうな企業をリストアップしている。

事業継承関連が軌道に乗れば、ほかの業務にも乗り出す。特産品を扱うなど地域に不可欠だが業績が伸び悩む企業には後継者の有無にかかわらず出資し、利益が出る体質に改める。さらに過剰債務を抱えているものの技術やキャッシュフローなどで強みを持つ企業も出資対象になる。立て直す過程では増資の引き受けなども検討していく。

スタートアップも支援するが、投資は経営参画にとどめ、過半数を目指さない。滋賀銀の取引先の紹介をはじめ、事業を巡るネットワーク構築などで手助けする方針だ。

滋賀銀はこれまでも事業継承やスタートアップの支援に力を入れてきたが、事業会社に直接出資できる比率は銀行法で低く抑えられている。投資専門の子会社を通せば最大100%の出資が条件付きで認められるため、新会社の設立に踏み切った。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。