日銀は1日、9月19〜20日の金融政策決定会合での「主な意見」を公表した。政策委員からは現状の物価動向について、物価上振れリスクは減っているものの「再びデフレに戻る状況ではない」との見方があった。一方で追加利上げの判断においては経済や市場の動向を「見極めるための時間的余裕はある」として、利上げを急がない姿勢もみられた。

日銀は7月会合で政策金利を0.25%に引き上げると決め、9月会合では政策金利を維持した。

政策委員からは見通しに大きな負の変化がなければ「時間をかけすぎず、引き上げていくことが望ましい」との声が聞かれた。経済・物価動向が想定通りに推移すれば、早ければ「2025年度後半の1%という水準に向けて段階的に利上げしていくパスを考えている」との意見もあった。

一方、政策委員から「金融資本市場が不安定な状況で利上げすることはない」との指摘もあった。8月初旬に市場が乱高下したことを受け、日銀の内田真一副総裁は8月7日の講演で「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と語っていた。

政策委員が利上げ方針を示しつつも当面は慎重姿勢を保つ背景には、海外経済の不確実さがある。ある政策委員は「海外経済の不確実性が高まった」との認識を示した。「当面は海外や市場動向を見守り、金融緩和の一段の調整は不確実性が低下した段階にすることが妥当だ」と主張。状況を当面注視すべきだとの考えを示した。

7月会合での利上げが「サプライズ」(市場関係者)と受け止められたことを受け、市場との対話についての指摘もあった。ある政策委員は、追加利上げの局面では「政策スタンスをはじめ、市場との対話を従来以上に丁寧に行う必要がある」と強調した。別の委員は、日銀と市場の見方にずれが生じた場合に「適時の修正など、コミュニケーションの改善に努めるべきだ」と述べた。

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