金融政策決定会合に臨む植田日銀総裁(奥中央)ら(写真は2024年1月の会合時のもの)

日銀は26日、7月30〜31日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。同会合では政策金利を0.25%に引き上げることを決めた。政策委員からは、利上げ後も物価が見通し通りに推移すれば「金融緩和の一段の調整を進めていくことが必要」との意見が上がった。

多くの委員がインフレを考慮した実質金利は「大幅なマイナス」として、「政策金利を小幅に引き上げても、緩和的な金融環境は維持される」との認識を共有した。ある委員からは、緩やかなペースの利上げは基調的な物価の上昇に応じて緩和の程度を調整するもので「引き締め効果を持たない」との意見も出た。

利上げを決めた背景には「先行き物価が上振れするリスクに注意する必要がある」(多くの委員)との認識があった。企業の賃金・価格設定行動が積極的になるなか、過去と比べて為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている点を考慮した。

物価動向について、ある委員は「オントラック(想定通り)」と評価した。別の委員は「賃金と物価の好循環が働きだし、基調的な物価上昇率は2%に向けた着実な歩みをみせている」との見解を示した。

日銀は追加利上げの判断で、短期的な変動を除く基調的な物価上昇率の動きを重視する。現状は基調的な物価上昇率がまだ2%に達していないとの見方を示しており、今後上昇すると判断すれば、追加利上げを後押しする材料になる。年度後半となる10月の値上げが「見られる可能性が高い」と言及する委員もいた。

日銀は9月20日に開いた決定会合では政策金利を据え置いた。国内外の経済動向を見極める構えだ。7月会合では委員から「正常化に伴う様々なリスクに目配りし、注意深く進める必要がある」との声が上がった。「物価は下方リスクに脆弱だ。市場で先行きの利上げ観測が強まりすぎることは避けるべきだ」と述べた委員もいた。

7月の会合では国債買い入れ減額の具体策も決めた。委員は「国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保することも重要」との認識で一致した。そのうえで減額過程の途中で「中間評価を実施することも適切」(複数の委員)との見解が出された。長期金利が急上昇した場合に備え、複数の委員が「指し値オペ(公開市場操作)を含む臨時オペを実施しうる枠組みを維持することが適切」と主張した。

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