日銀の植田和男総裁は24日、大阪市で開かれた大阪経済4団体共催懇談会での講演で、今後の追加利上げを巡る判断は「適時・適切に行う」と述べた。経済・物価を巡る不確実性が大きく「予期せぬ事態もしばしば生じる」として、政策運営は「あらかじめスケジュールを定めるものではない」と強調した。
日銀は20日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決め、政策金利を0.25%で据え置いた。米経済や国内の経済・物価情勢を見極めていく構えだ。
植田総裁は24日の講演でも金融市場の動向や海外経済の状況を「丁寧に確認する必要がある。そうした時間的な余裕はある」との考えを維持した。日銀の考える経済・物価見通しが実現していけば「政策金利を引き上げていく」とも述べた。
日銀は追加利上げの判断で、短期的な変動を除いた物価の基調的な上昇率を重視している。植田総裁は基調的な物価上昇率が「2%に向けて徐々に高まっている」との認識を示した。今後も企業の賃上げが持続し、人件費の上昇分を販売価格に転嫁する動きが広がるかを注視するとした。
現状の金利水準について、インフレ率を考慮した「実質金利は大幅なマイナス」との見方を示した。そのうえで「経済活動を刺激し、物価上昇率も押し上げる方向に作用している」と説明した。日銀が2%物価目標に向けて金融政策を運営することは「国民経済全体にメリットをもたらす」と強調した。
日銀は現在、過去25年間の非伝統的な金融政策を総括する「多角的レビュー」のとりまとめ作業に入っている。植田総裁はレビューについて「金融政策決定会合で議論したうえで、年内をめどに結果を公表する予定だ」と述べた。
植田総裁は懇談会後に記者会見を開く。
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