◆「雇い続けねばならない」強調していたが
「人員整理が認められにくい。この状況を変えていく」。小泉氏は6日の出馬会見でこう述べた。リスキリング(学び直し)や再就職支援を条件に大企業の整理解雇の要件の緩和を訴え、1年以内に実現する考えを示した。10日にも「今のままだと一度雇用したらずっと雇わなければならない。そのしわ寄せで今まで非正規雇用が続いていた」と持論を展開していた。14日、自民党総裁選の立候補者討論会で発言する小泉元環境相(池田まみ撮影)
日本の解雇ルールは、解雇権乱用法理(労働契約法16条)に規定され、解雇権の乱用は許されないという個別事例が判例によって積み上げられてきた。解雇規制を巡る議論はたびたび起き、2013年には安倍政権下で成長戦略の一つとして解雇ルールの法制化が議論されたが、見送られた。厚生労働省の検討会が22年に報告書をまとめたものの、労使双方の反対の声が上がり、先送りされている。◆正社員も含め「みんな不安定に」指摘
日本労働弁護団の佐々木亮幹事長は、小泉氏の発言を「現在でも権利乱用にならなければ解雇はできる法制度になっているので、おかしな話」と批判する。「これまでは労働契約の解除がしやすいため、正社員を非正規雇用に置き換え、非正規雇用が増えた。解雇規制緩和は、正社員も含めてみんな雇用が不安定になる」と指摘する。野田佳彦氏(8月23日、佐藤哲紀撮影)
立憲民主党代表選に立候補した4人からも、批判の声が上がる。枝野幸男前代表(60)は「社会の不安定性を高めるだけ」と非難。野田佳彦元首相(67)も「親の七光で政治家になって落ちる心配もない連中が何を言っているんだ」と批判した。◆「解雇の自由化なんて全く考えてない」
当の小泉氏は12日に「解雇の自由化なんて全く考えていない」と発言。その後も政策導入の狙いについて「正規・非正規の格差解消のため」「昭和の時代の働くルールを令和の今に合わせる」「リスキリングと再就職支援によって新たなところに移動しやすくする」と”マイルド”な発信に終始している。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。