九州フィナンシャルグループ(FG)傘下の肥後銀行は23日、生成AI(人工知能)が業務の問い合わせなどに応じる行内システムを稼働させた。同じく傘下の鹿児島銀行も翻訳や議事録作成などに別の生成AIシステムを使い始めた。行員の業務負担を減らしつつ、営業活動などに専念しやすい職場環境をつくる。

肥後銀行の「生成AIチャットボット」で銀行業務について問い合わせた場面(同行提供)

肥後銀はAIに事務手続きの方法などを対話形式で質問できる「生成AIチャットボット」を導入した。例えば融資業務について質問すると、行内の事務マニュアルに記された内容をAIが要約し、出典も示して回答する。従来は規定が分からない業務があると、行内の専用窓口に電話などで確認する手間があった。

同行のシステムは複数の生成AIやIT(情報技術)システムを組み合わせられるアクセンチュアのサービス「AI HUB プラットフォーム」を基盤に開発。まずは利用を望む400人ほどの行員に使ってもらう。

鹿児島銀行が導入した生成AI「AIどん」のデモ画面=同行提供

鹿児島銀では「AI(あい)どん」と名付けた生成AIが5日に稼働した。利用対象の業務は文章の校正や添削、英語と日本語間の翻訳のほか、キャッチコピーの作成といったアイデア出し、会議の議事録作成、文章のリーガルチェック(法的確認)などを想定している。

鹿児島銀の生成AIは肥後銀と異なり、ソフトバンクの支援を受けて開発した。グループで別々のシステムを採用した理由について、肥後銀の笠原慶久頭取(九州FG社長)は「両行で親しいベンダーや提案された内容が違った。生成AIは黎明(れいめい)期で色々なサービスがあり、まずはそれぞれを使ってみることにした」と説明した。

肥後銀行の笠原慶久頭取は「色々な生成AIのサービスが出ており、九州FG2行でも活用する」と話した(23日、熊本市)

両行とも今後は稟議(りんぎ)書の作成や与信判断の支援など、より銀行業務の中核となる分野にも生成AIを活用する考えだ。鹿児島銀の郡山明久頭取は「今回は入り口段階であり、(対象業務の)幅を広げていきたい」と話した。

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