◆年収350万円以上はわずか7%
調査は6〜7月、非正規で国の機関や自治体で働く人と退職者を対象にインターネットで実施。有効回答は676人(現職599人、退職77人)だった。 年収は250万円未満が65%で、350万円以上は7%にとどまった。全体の39%は家計を支える「主たる生計維持者」で、自分の収入がなくなると「家計は非常に厳しい」と答えた人は52%に上った。 辞めた人の40%は「仕事を続けたかったが、雇い止めになった」と回答。待遇に納得できないと「自ら辞めた」も26%あった。将来不安に関しては「いつも不安」「一定の時期に感じる」「時々感じる」の合計が95%に上った。◆「誇りとプライドを持ってやっている。私たちはモノではない」
都内の小学校で、非正規の地方公務員として働く学校司書の40代女性は、「子育て中で私の収入がないと家計が厳しい」と話す。一度は、妊娠中に自主退職を強要され、精神疾患を患った経験がある。非正規公務員の現状を訴えた女性(木戸佑撮影)
1年間の契約で、更新は5回まで。6回目には公募の試験を再度受けることになる。「落とされれば次の年の収入がなくなる。児童の顔を覚え、それぞれに合った本を渡す。先生や児童と信頼関係を築いている。誇りとプライドを持ってやっている。私たちはモノではない」と訴える。 神奈川労働局の職業相談部門で、非正規の国家公務員としてハローワークの相談員をする渡辺博美さん(57)は、「毎年毎年雇用の不安にさらされている」と話す。今年で働き始めて15年目になるが、「正規の公務員が年々減らされて、非常勤がいないと職場は回らない。常勤より業務量が多いのに給料に格差がある」と明かした。◆「働き手が軽視されているだけはない」
非正規公務員の現状を訴える学校司書の女性=東京都新宿区で(木戸佑撮影)
回答者からは「低賃金のため、若い人が辞めてしまう」(60代学童保育指導員)、「妊娠中に辞めさせられた」(30代一般事務職員)、「人として扱ってもらえていない。ただの駒」(30代教員)、「年限が来るとスパッとクビになる恐ろしさは耐えがたい」(50代図書館員)などの切実な声が多数寄せられた。 はむねっとの瀬山紀子共同代表は「全国でこのような事態が起きている。働き手が軽視されているだけでなく、サービスを受ける市民にとってもマイナス」と指摘した。(竹谷直子)非正規公務員の現状を訴える女性(木戸佑撮影)
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