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日銀は27日、全国企業短期経済観測調査(短観)の予備調査で賃金動向を調査すると発表した。企業の賃上げの見通しを、大企業から中小企業まで網羅する短観で把握することで、金融政策運営に生かす考えだ。

短観は、新たに調査項目を導入する前段階として「予備調査」を実施している。賃金動向が今後、短観の本調査の項目として導入されれば「為替レート」や「海外での事業活動」が追加された2020年以来となる。

短観は資本金が2000万円以上の企業を対象として四半期ごとに、全国約1万社の企業に自社の業況や経済環境の現状・先行きをどうみるか、事業計画などを聞き取っている。回答率は99%以上で、企業の動向を的確に把握できる統計として、市場関係者の注目も大きい。

賃金を把握するための指標は厚生労働省の「毎月勤労統計」や連合の「春季労使交渉の集計結果」などがある。日銀は非正規雇用者の時給など民間データも活用し、賃金動向の把握に努めている。2%物価目標の持続的・安定的実現に向けて、賃上げを伴う物価上昇が続くかどうかを重視している。

連合の賃上げ集計は、労働組合を持つ企業のデータを集めたもので、大企業に集中しやすいとの指摘がある。最終集計で平均賃上げ率で回答した5284組合中、300人以上は1468組合と3割近くを占めている。

毎月勤労統計は得られるデータはその時点より1カ月以上前の情報になる。一部の企業に聞くサンプル調査で、定期的に調査対象を入れ替える。入れ替え前後の企業サンプルが一致せず、断層が生じてしまうとの指摘もある。

日銀が追加利上げの判断で重視するのは、「賃金と物価の好循環」が強まり、物価上昇率が2%目標に向かって見通し通りに推移するかどうかだ。日銀は現在、企業への聞き取り情報などで、足元や先行きの動きをつかもうとしている。

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